ビジネスの相手が信頼できるかを見極めることは重要だ。その方法は、相手の過去の経歴を調べるなど多様であるが、最も手近なのは、相手の話にどれだけの真実が含まれ、また、誠意があるかを量ることだ。真実は相手の能力を、誠意は実行力を示す。これは、相手に中身(サブスタンス)とコミュニケーション力に代表される実行力があるかを量るということだ。中身と実行力をそれぞれハードスキルとソフトスキルに置き換えて考えることもできる。
米国は、日本に比べ議論を好む文化であり、相手の話が「ブルシットか否か」を判断する機会が多い。ブルシット((BS:ビーエス)ともいわれる)は真実と誠意の有無に応じて3種類に分けることができる(表)。まず、真実も誠意もない話は、ただの詐欺であるので、取り合う必要はない。統計データを恣意的に用いて人をだまそうとする意図が透けて見える場合などがこれにあたる。
ビジネスで最も性質が悪いとされるのが、誠意はあるが真実がないケースだ。こうした話をする人は、”Articulate incompetent”とも言われる。人を説得するスキルはあるが、本人でさえ、自分の能力が欠けていて、正しい解を提示していないことに気づいていない。この場合、相手の持つアイディアにどれだけの確かさがあるのかを精査する必要がある。
MBAの世界で、半分エンターテイメント的に行われているのが、真実はあるが、誠意がないという、議論のための議論だ。米国人は、子供の頃からディベートで、自分の信じる立場とはあえてことなる立場から議論し、論理力を鍛えている。すぐれた論理力を、本人が信じていないことに使うのは、ほとんどゲームであり、シニシズムの効いた冗談ともいえる。米国人はそうしたゲームを楽しむことができる。
これら3種類のブルシットには明確な線引きがあるわけでないので、日々の議論の中で、相手の議論を量って目利きできるようになるほかない。ブルシットに対するセンシティビティを高めることは、信頼できるビジネスパートナーを見極めるために必要なことだ。これは、MBAで習得することのできる、あまり知られていないスキルだろう。とはいえ、この記事自体がブルシットかどうかは判断の分かれるところかもしれない。
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