Why MBA? という問いには、皆自信を持って答えられるものである。キャリアチェンジを図りたい、ビジネスを体系的に勉強したい、英語環境で働けるコミュニケーションスキルを身に付けたい、世界の将来のリーダーとネットワークを築きたい、などなど。しかしWhy that school? という問いの答えを見つけるのはなかなか難しい。トップスクールであれば、どの分野でもトップレベルの教育が受けられる。Kelloggと言えばMarketingが有名だが、他の分野についてもバライティに富んだ数多くの授業があり、全米を代表する教授陣が集まっている。将来学者になるなら話は別だが、グローバルに活躍できるビジネスマンとしての素養というレベルは、どのトップスクールもあらゆる分野で十分に満たしていると思う。学べる分野、学べる内容の質の高さでトップスクールを区別するのは難しい。
では、どこで区別をするのか。例えば、気候で選ぶ人がいるだろう。西海岸の温暖かつのどかな気候に憧れを持つ人は多いかもしれない。しかし、どこに行っても住めば都である。Kelloggのあるエバンストンも夏は非常に快適であるし、冬の寒さも意外と慣れてしまう。他に、卒業生の就職先で選ぶ人もいるだろう。しかしあの統計は大多数がアメリカ人を占める学生全体のデータに過ぎず、日本人という特別なセグメントに属する我々にはあまり参考にならない。Kelloggの学生で金融系からインターンシップをもらう人もたくさんいる。また他に、純粋にランキングを重視する人もいるだろう。だが、Top tierのグループに入っている学校の差なんて非常にMarginalであるし、そのグループの中でどこの学校だからよりブランドがあって、ビジネス界で有利になるなんてことはない。ランキングの数字だけで学校を決めてしまうのは非常にもったいない。
実は私も、決め手を見つけきれずに学校を決めてしまった人間の1人である。複数の学校から合格をもらったが、最終的には話した在校生、日本で会ったアルムナイの方とのフィットでKelloggがよさそうだと感じて決めた。今思うと少し軽率だったかもしれないが、実際Kelloggに入ってみて、Kelloggのカルチャーを肌で実感する中で、今は鮮明にWhy Kelloggが見えてきている。今は自信を持って、自分が正しい判断をしたと言える(あくまで結果論になってしまったが・・・)。今回は私の中での今だから語れるWhy Kelloggについて、思うところを述べていきたい。
私の中で、Kelloggとは「日本人にとってグローバル環境の中で、外国人と互角に意見を戦わせ、存在感・リーダーシップを発揮し、最終的には日本を代表するグローバルリーダーとして活躍するための素地を与えてくれる最高の学校」だと考えている。ここでのポイントは日本人にとってというところである。日本人がグローバルで活躍するための最大の弱点は、外国人と仕事をする上でのソフトスキル・コミュニケーションスキルである。これは、何も英語のことだけを意味しているのではない。例えば子供の頃に、海外に数年間住んでいて英語に堪能な帰国子女であってもMBAに来ると苦労することがある。それは、言葉だけでなく、文化・習慣の違いから、コミュニケーションのスタイル・会話の中身・議論の進め方等が日本人と外国人で大きく異なることによる。アメリカでは、意見をダイレクトに言うことが期待され、基本的には早く言った物勝ちだったりする。また、多少的外れなことがあっても、とにかく多く話すことが存在感をアピールすることになったりする。おとなしいことは興味がないこととみなされる。アメリカ人同士で、アメフトの話やローカルネタを話されてしまうと全くついていけない。こういった色々なコミュニケーションの違いは、実は英語以上に大きな壁になっていたりするのである。そしてこういった違いは理論で理解していても、克服することは非常に難しい。一流のグローバルビジネスマンになるためのコミュニケーションスキルは、同じく一流の外国人たちとビジネスコミュニケーションをする場に、ひたすら身を置くことでしか養われないのである。Kelloggはまさにその環境を与えてくれる。
Kelloggのカルチャーといえば、team work, collaborative leadership, student driven等の言葉で表現されることが多いが、このカルチャーこそが、我々日本人を鍛え上げてくれる。例えば、Kelloggにはsection という日本の学校のクラスのようなものがあり、入学してからの2週間は朝から晩までこのsectionのメンバーと一緒に過ごすことになる。ただ一緒に授業を受けるだけでなく、クラス対抗で応援合戦をしたり、運動会をしたり、オリエンテーリングで学校を駈けずりまわったり、劇などの出し物をしたり。昨日まで見ず知らずだったクラスメートと驚くべきスピードで団結をし、チームとしてアウトプットを出していく。Kelloggが重視するチームワークのダイナミクスを一気に体感できる。そして、この環境下では、日本人もおとなしくしていることはできない。何らかのアクティビティに関わらされ、よくわからない英語と文化の違いに頭はパンクしながら、とにかく必死でサバイブすることになる。最初の二週間が終わっても、このKelloggの濃密なカルチャーの猛攻は終わらない。授業が本格的に始まると、全ての授業でグループが組まれ、毎週の宿題をグループでこなすことになる。ここで、毎日のように、外国人と議論をすることになる。グループでは、学期末にお互いを評価するピアエバリュエーションがあるため、気は抜けない。これに加えて、student drivenカルチャーによって、色々なクラブ活動、生徒会活動、ボランティア活動に誘われてついついコミットしてしまう。そこで、また色々な学生と一緒に何かを成し遂げる経験を積んでいく。
このような、半ば強制的にグループに巻き込まれ、そこで貢献を期待されて、成果を出すという経験を、Kelloggでは山のように積むことができる。その中で、外国人とのチームのマネージの仕方、議論の進め方、信頼関係の築き方、自分のバリューの出し方を、学んでいくのである。消極的になりやすい日本人にとっては、自分から探しにいかなくても、Kellogg側からリーダーシップ発揮の機会、チームワークスキルを養う機会をどんどん与えてくれるという意味で、グローバルリーダーとしての素地を非常に磨きやすい環境なのである。私自身、既に入学して半年が過ぎる中で、外国人と一緒に仕事してアウトプットを出すというスキルは相当に鍛えあげられてきたと実感している。
Kelloggの環境は私のロングタームのゴールにぴったりと当てはまっている。私は外資系コンサルティングファームから社費でKelloggに来ているが、この会社に入った理由は、世界でのプレゼンスを高めることに苦しんでいる日本の大企業のグローバル化をサポートしたいからであった。最近ではアジアといえば中国やインドと騒がれ、日本が取り上げられる機会は大きく減った。実際、日本国内での経済成長はあまり望めそうにもないが、日本の技術力・人材を持ってすれば、海外のマーケットをレバレッジすることで、まだまだ世界のトップとしてプレゼンスを持つことができるはずである。私はそのサポートをしたいと思っている。そのためには、まずは自分がグローバルで活躍できるスキルを身に付けなくてはいけない。MBAに来たのはそんな理由からであった。
Kelloggは私のような完全なドメスティックな日本人でもグローバル環境で働けるためのスキルを養わせてくれる。今後、世界で活躍できる日本人のリーダーが数多く生まれるために、より多くの日本人の方に、Kelloggに興味を持ってもらえればと思う。
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