2010年3月アーカイブ

Why MBA? という問いには、皆自信を持って答えられるものである。キャリアチェンジを図りたい、ビジネスを体系的に勉強したい、英語環境で働けるコミュニケーションスキルを身に付けたい、世界の将来のリーダーとネットワークを築きたい、などなど。しかしWhy that school? という問いの答えを見つけるのはなかなか難しい。トップスクールであれば、どの分野でもトップレベルの教育が受けられる。Kelloggと言えばMarketingが有名だが、他の分野についてもバライティに富んだ数多くの授業があり、全米を代表する教授陣が集まっている。将来学者になるなら話は別だが、グローバルに活躍できるビジネスマンとしての素養というレベルは、どのトップスクールもあらゆる分野で十分に満たしていると思う。学べる分野、学べる内容の質の高さでトップスクールを区別するのは難しい。

では、どこで区別をするのか。例えば、気候で選ぶ人がいるだろう。西海岸の温暖かつのどかな気候に憧れを持つ人は多いかもしれない。しかし、どこに行っても住めば都である。Kelloggのあるエバンストンも夏は非常に快適であるし、冬の寒さも意外と慣れてしまう。他に、卒業生の就職先で選ぶ人もいるだろう。しかしあの統計は大多数がアメリカ人を占める学生全体のデータに過ぎず、日本人という特別なセグメントに属する我々にはあまり参考にならない。Kelloggの学生で金融系からインターンシップをもらう人もたくさんいる。また他に、純粋にランキングを重視する人もいるだろう。だが、Top tierのグループに入っている学校の差なんて非常にMarginalであるし、そのグループの中でどこの学校だからよりブランドがあって、ビジネス界で有利になるなんてことはない。ランキングの数字だけで学校を決めてしまうのは非常にもったいない。

実は私も、決め手を見つけきれずに学校を決めてしまった人間の1人である。複数の学校から合格をもらったが、最終的には話した在校生、日本で会ったアルムナイの方とのフィットでKelloggがよさそうだと感じて決めた。今思うと少し軽率だったかもしれないが、実際Kelloggに入ってみて、Kelloggのカルチャーを肌で実感する中で、今は鮮明にWhy Kelloggが見えてきている。今は自信を持って、自分が正しい判断をしたと言える(あくまで結果論になってしまったが・・・)。今回は私の中での今だから語れるWhy Kelloggについて、思うところを述べていきたい。

 「健康的な食事」は、留学生活で最も確保の難しいライフライン。食事には、外食、自炊、弁当・テイクアウト、誰かに作ってもらうといったパターンがある。ただ、残念ながら、自分には今のところ誰かに作ってもらうという選択肢はない。

 食事について考えるべき評価軸は、スピード(時間)、健康度、お金、料理の技術の必要性、味として、評価レベルは3段階で、良い順に、○、△、×としてみる。なお「技術」は、自分に料理の技術が必要なくて済むほど評価が高いことにしよう。 

食事の選択肢の評価

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 時間のない生活では、相反しやすい「スピード」と「健康」の両立が課題になる。日本のように、ある程度健康的な総菜屋などがあれば、一発解決だ。だけど、米国にはない。

 自分のニーズと食事の選択肢の評価を比べると、スピードを最重視した場合は、弁当・テイクアウトが解になる。ただ、これでは、健康を確保できない。健康がクリティカル・ファクターだとすれば、選択肢は自炊ということになる。問題は、自分のニーズと乖離している、「スピード」と(自分の料理の)「技術」の向上がどれだけ可能か、という点だ。だから、料理のスピードを向上するオペレーション改善は、ライフライン確保のための必須の取り組みなのだ。

 自炊の目的は、野菜を多く使った健康的な料理を作ること。野菜は、炒める、煮る、蒸すなどすることができるが、今回は「煮る」を取り上げ、シチューを作る。

 

シチューを作るには、次の様なプロセスをたどる。

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 このプロセスでは、「煮る・アクを取る」を終えるまでに45分かかる。それ以降のプロセスの料理時間は、電磁調理器を使えば、それほど神経を使って見張る必要はないので、あまり気にする必要はない。

 さて、1食あたりの料理時間は、「1食あたりの料理時間=料理時間÷食数」のように考えることができる。料理時間を変えずに、食数を増やすことができれば時間短縮になる。例えば、シチューであれば、料理時間は1食分でも5食分でもそれほど変わらない。したがって、時間を節約する有効な方法の1つが、1回の料理で大量生産して食数を増やすことだ。

 このようにすれば、例えば5食分作れば、1食あたりの料理時間は、45÷59分となり、スピードは、弁当と大体同じ「良」の水準となる(ただし、食材の調達時間は、ここには含まれていない)。だた、そのつもりで、大量に作って、火を入れながら3日ほど常温保存したころ、酸っぱくなってしまった。そこで、常套手段である「小分け冷凍保存」を行うことで、数日に渡って、シチューを食べることができるようになった。

 ただ、この方法では、大量生産した一種類のシチューしか食べることができない。上記のプロセスを辿って、別のシチュー系料理のクリーム・シチュー、ハヤシ・ライス、カレーなどを作ることは可能だが、冷凍庫内のスペースには限りがある。次々に大量に作って在庫を過剰に積み上げることはできない。

 そこで、もう一度、プロセスを確認しよう。各シチュー系料理は、「煮る」までのプロセスを共有している。ここで出来上がっているのは、かなりダシの効いた肉野菜スープだ。ちなみにこのスープは、そのままでも十分においしい。

 この共通プラットフォームに各シチュー系料理の元を加えて行く訳だが、その際に、このスープをより小さな鍋に分けて移し、その時食べたい元を加えれば、好きなシチュー系料理を少量ずつ食べることができる。時間的なコストを抑えたまま、多品種少量生産が可能となる。 

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 元となる大きな鍋のスープは、分けて煮詰めたシチューに比べかなり水っぽいので、火を継続的に入れても焦げず、保存が利く。あるいは、このスープを少し煮詰めて濃縮して、ボリュームを減らした上で小分けにして冷凍し、解凍時に水を加えて、各種シチューの元と混ぜで煮込む、という方法も採れる。

 このようにして、シチュー系料理におけるスピード、健康、味(バラエティ)、お金などの要素を同時に改善することができる。自分にとっては発見だったが、料理をよく知る人には、当たり前の「生活の知恵」に過ぎないのかもしれない。

 

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