Strategy - 何を学ぶのか?(2)

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ケロッグのStrategyのカリキュラムは、特に以下の3つの領域を重点的にカバーする。

1.    Competition among firms

2.    The constraints placed on the organization by laws, regulations, and other government policies that shape the rules of the competitive game 

3.    Organization economics: look inside firms to study incentives, with special focus on ways to manage conflicts between owners, managers, and workers

代表的なクラスと教授

具体的なクラスとしては、まず必修授業のBusiness StrategyのクラスでStrategyの代表的な理論をカバーする。その後は選択科目から選ぶことになる。選択科目は少なくないが、以下の6つの授業が中核的な授業とされている。

-      Competitive Strategy Industrial Structure

-      Empirical Methods in Strategy

-      Management of Technology

-      Strategy & Organization

-      International Business Strategy

-      Strategic Management in Non-Market Environments

 

著名な教授陣についても、簡単にあるが名前を挙げてみたい。まずは多くのビジネススクールで使われている教科書「Economics of Strategy」を著したDavid Besanko教授(副学長)とDavid Dranove教授が挙げられる。Dranove教授は近年、ヘルスケア分野での戦略論においての業績やクラスが目立つ一方で、Empirical Methods in Strategyという人気クラスを担当し、Strategyの定量的な分析手法のテクニックを教えている。

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David Besanko教授(副学長)

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David Dranove教授

Daniel Spulber教授は、グローバル戦略の分野での研究で有名で、これまで12冊の著書を出版している。組織の経済学の分野では、Niko Matouschekの評価が高い。Strategic Management in Non-Market Environmentsを教えているDaniel Diermeier教授は、2001年のBest Professor Awardのほか、学外でも様々な賞を受けているスター教授だ。Scott Stern教授は、InnovationEntrepreneurshipの分野などで著書があり、Management of Technologyを教える。(なお、InnovationEntrepreneurshipに興味があれば、ケロッグには別途EntrepreneurshipInnovationというプログラムがあり、Wolcott教授、Rogers教授、Sawhney教授などの著名な教授陣が揃っている。)

 

Competitive Strategy &Industrial Structure

ここでは、全てをカバーできないが、Competitive Strategy & Industrial Structureについて、私の解釈を含めながら説明する。タイトルから想像できるように、この授業は、業界構造と競争のダイナミズムを分析するものである。履修する学生の数が多く、複数の教授が教えている。 私自身は学生からの評価が高いSandeep Baliga教授に教わった。

(1) Economic Logic分析

 Competitive Strategy & Industrial Structureの特徴の一つは、ミクロ経済のフレームワークをしっかりと使った科学的な経済分析に、意識的に重点を置いていることである。基本的に、業界構造、自社のポジショニング、及び競合企業の反応という3つの視点からこのEconomic Logicを考える。

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Sandeep Baliga教授

(2) PorterFive Force理論の問題点

Competitive Strategy & Industrial Structureは、Michael Porterが提唱する収益性分析のフレームワークであるFive Force Analysisに代わって、新しいフレームワークを打ち出している。Michael Porterが提唱したFive Force は、日本でも未だに最も有名なStrategy理論となっている。業界の経済性を(1)供給者の交渉力、(2)買い手の交渉力、(3)業界内の競争企業、(4)新規参入の脅威(参入障壁)、(5)代替品の脅威という5つの要因から説明するものである。しかし、当時は斬新だったこのフレームワークも、様々な批判を受けてきたことをしっかりと認識している人は必ずしも多くはないかもしれない。具体的な批判としては、SupplierBuyerとの関係が敵対的でWin-Winの発想がないこと、分析が静的で価値創造のダイナミズムを捉えにくいこと、Forceが網羅的でないこと(例えばタバコ産業なら、政府、市民団体などが無視できない)、そもそも十分な自社の戦略立案につながらないことなどが挙げられる。

 

() PorterFive Force理論を再整理する

Competitive Strategy & Industrial Structureのクラスが導入する新しいフレームワークでは、(1)Demand(2)Costという切り口にしたうえで、そのサブフレームワークとして、需要の多様性とそれに対応した企業の差別化のモデルを導入する。コスト分析のフレームワークは、規模の経済のほかにも、BCGの経験曲線など他のフレームワークが使えるだろう。(3) Risk Factorは、新規参入者の脅威や、柔軟性の低い生産キャパシティの存在など、価格競争を誘引する様々な要素を捉える。

(4) Psychologyを含めているのもFive Forceにはない点で面白い。実際の世界では競合他社や顧客が非合理的な行動をすること多い。Competitive Dynamics(競合関係)を分析するためによく使われるゲーム理論の限界はここにあるといえるだろう。すなわち、ゲーム理論では、競争のダイナミクスを理解するのに、全てのプレーヤーの行動原理をEconomicsにおき、そのEconomicsを最大化するための合理的なゲームを想定している。しかし、実際の世界では競合他社や顧客が非合理的な行動をすること多いということになると、カルチャーだとか価値観などに影響されるBehaviorを考えるという視点が現実には極めて重要になる。

このフレームワークの長所は、Five Forceよりも、業界構造に応じたStrategy行動を導きやすいところだと思う。例えば、顧客の需要(Demand)が多様化しているなら、新規参入者にとってはニッチStrategyが打てることになるし、既存参入者にとっては他商品を導入して、参入を防ぐというStrategyが解になりうる。コスト面で規模の優位性が働きやすい状況なら、M&Aを通じて事業規模を拡大することが有効になりやすい。

また、このフレームワークを用いると、それぞれの要因をサブフレームワークを使って深堀りすることが可能である。すなわち、Demand Analysisにはマーケティング、Cost Analysisにはオペレーション、Risk Factor Analysisにはミクロ経済が、Psycho Analysisには組織論の知識体系が、Strategyのサブフレームワークとして使える。

なお、全体のフレームワークのことを強調して説明したが、実際にはフレームワークを構成する個別の論点の経済分析にこそ価値があるクラスである。

 

ここで紹介できなかったクラス

ここではカバーできないが、ケロッグのStrategyのクラスでは、Empirical Methods in StrategyManagement of TechnologyStrategy & Organization International Business StrategyStrategic Management in Non-Market Environments5つのクラスも重要クラスに挙げられており、それぞれ異なるタイプの教授陣がそろっている点は前述したとおりである。ケロッグに入学された読者には、ぜひこの続編を書き進めていただきたい。

更にこの6つのクラス以外にも、Managing TurnaroundsStrategic AllianceFamily Enterprisesなど、特別な興味があればお奨めしたいクラスがある。個人的には、Edward Zajac教授のAdvanced Strategic Management in Healthcareという二つのクラスもお奨めしたい。Healthcareというタイトルが付いているものの、様々なStrategyのまとめのような内容になっている。

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Edward Zajac教授

AT 

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このページは、田村 篤司が2009年6月20日 12:30に書いたブログ記事です。

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