Marketing - 何を学ぶのか?(1)

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今回はケロッグのマーケティングカリキュラムを紹介する。バランスのよいカリキュラムを築いてきたケロッグだが、特にマーケティング分野では、絶対的な権威となったPhillip Kotler教授の存在もあって早い時期からカリキュラムが充実してきた。その後現在に至るまで、マーケティングについては、数あるビジネススクールのなかで最高位の評価を維持しており、ケロッグの競争力の一つのコアとなっているのは間違えない。このブログでは、私が履修した授業を中心に、私個人の考えを踏まえながら、マーケティングのカリキュラムを幅広く紹介してゆく。特にMBAで何を学ぼうか、どういう授業を取るのがよいかと考えている人には役に立てていただけるのではないかと思う。

STP分析

実務的に生かされているポジショニングの理論と分析手法は、マーケティングの分野において特に充実して発展している。すなわち、ケロッグのPhilip Kotler教授は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという一連の分析を組み合わせた「STP分析」を確立した。STP分析では、(1) 市場を顧客セグメントに分け、(2) 競合他社のポジションを確認したうえで、自社商品のターゲットとなる顧客セグメントを見つける。そして、そのターゲットに対して、(3) どのような価値を訴求するか、顧客の中で自社商品が他社商品と比べてどのように位置づけられるかを決定する。

kotler_p[1]-320.jpgのサムネール画像

Philip Kotler教授

ケロッグにおいて、STP分析に重点的に時間をかけるクラスとしては、二つの重要なクラスがある。一つ目は、必修のMarketing Managementのクラスで、ここでは定「性」的なSTPの考え方を中心に学ぶ。二つ目は、同じく基本科目であるMarketing Researchであり、この授業の重点の一つは、定「量」的なSTP分析である。前者については、別途ブログ記事がある(Kent Grayson教授Julie Hennessy教授の人気が高い)ので、ここでは後者のMarketing Researchについて、簡単に概要を紹介したい。

 

Marketing Research (Research Method in Marketing)

Marketing Researchのクラスでは、STP分析を行う上で重要な、競合企業を定量的にマッピングする手法、及び顧客セグメントをマッピングする手法に比較的重点を置いて学んだ(但し、Marketing Researchの内容はSTP分析に限られるものではない)。前者は特にPerceptual Mapping、後者はCluster Analysis/Factor Analysisという手法である。競合企業と顧客セグメントをマッピングすることで、どこに自社商品をポジショニングさせるかということがよくわかるのである。定量的分析にあたっては、統計ソフトウェアを用いる。 

  Cluster1.jpg

(1) Cluster Analysis

 Perceptual.jpg

(2) Perceptual Mapping

Position.jpg

(1) + (2) STP Analysis

統計手法を使ったSTP分析を行うと、定性的にSTPを議論するよりも奥深いインプリケーションを発見できる可能性がある。一つ例をあげて説明してみよう。

ある商品Xは、競合商品と比べて、「スピード」の面で顕著に性能が良い(商品の属性)としよう。ここで、ターゲット顧客層を、高い「利便性」(商品のベネフィット)を求める顧客セグメント、例えばタクシーやコンビニを特に好むような人々、辛抱が効かない人といったように仮説を展開してゆくのは、安直な考えのようであるが、定性的な議論としては十分否定ができにくいかもしれない。

しかし、重要な問いは、その商品に「利便性」を求める人々は、心のより深層に何かニーズを持っているのではないかということ、更には、関連するニーズは何かということである。それは商品によっては、高い「キャリア意識」であるかもしれない。すなわち、仕事の能率を上げたいため利便性を求めるケースである。また場合によっては、高い「ステータス意識」かもしれない。すなわち、実利よりもイメージとして、最高級のものを求めたいというニーズである。前者であれば、仕事でハードに使うための「耐久性」を併せて重視するかもしれないが、後者はステータス意識を満足させるための「デザイン・スタイル」をより重視し、一方、プレミアム価格を好意的に受け取る可能性があるかもしれない。どちらであるかによって、価格やプロモーションなどの打ち手は大きく変わってくる。

このような、深層のニーズや、関連するニーズが何かを発見するために、統計学的なデータ解析の手法は非常に大きな役割を果たしうるのである。そして、あくまで事実ベースで、そこまでニーズを掘り下げることにどの程度の意味があるのか、セグメントをどう区分けすべきか、セグメントサイズはどのくらいか、ということを判断する材料を与えてくれる。

Marketing Researchの授業は、他校では必ずしも重要視されていないと聞いたことがある。しかし、観念的な戦略議論だけではなく、データに基づいて戦略的なインプリケーションを得る手法を学ぶことは重要であろう。ぜひ履修していただきたい。なお、ケロッグでは、別途Customer Insight Toolsというクラスが、Marketing Researchの発展授業と言える内容として用意されている。 

(続く)

AT

 

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このページは、田村 篤司が2009年6月28日 14:27に書いたブログ記事です。

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