米国就活マニュアル第二弾。(前回の記事はこちら)
今回の一連の記事を書きながら、人生やらキャリアやらについてゴチャゴチャと思いを巡らせる中で、耳に残っていた、ある授業でゲストスピーカーとしていらしていた創業社長の言葉が思い出された。
「君たちはKelloggという素晴らしい学校のMBAを得る。今のような短期的な不況の影響を除けば、一生というロングタームで見れば、そして我侭を言わなければ「仕事が見つからずに食いっぱぐれる」というリスクから社会の中でも最も遠いところにいる訳だ。世の中で一番大胆にチャレンジ出来る、リスクを取れる環境にいるのは、大学をドロップアウトする尖った若者じゃない。君たちなんだよ!どんなにメッタメタに失敗しても、飯が食えなくなることは有り得ない。君たちみたいな人たちこそが、リスクを取って、夢を追いかけないでどうするんだよ!?」心に深く響いた言葉だった。
目次
1.Why米国?
2.前提条件
3.オプション
4.全体像
5.難しさ
· 難しさの実態
· 難しさの背景
6.戦略/tips
順番前後してひっちゃかめっちゃかになっちゃってごめんなさい。一個大事な話を独立した章としてここで挿入させて下さい。前回の記事を書いた後に、この話をきちんと切り出した形で整理しないといけないなとはたと気付きまして…元々「戦略/tips」のところで書こうと思ってたのですが、どうも座りが悪くて…
(最初に全体を完成させずにブログの記事として漸進的に作っていくからこういうことが起こるんですな。Confusingで読み手フレンドリーじゃないですよね。ごめんなさい。まあでも、こうやって後から継ぎ接ぎ出来るのがまたブログの良さですね…多少ぐだぐだで行くくらいが丁度いいっしょ!と言い訳しつつ開き直り。)
3. 米国就職のオプション
これが実は一番大事な大前提なので、ゲームの中身や戦略を考える前に、先にこっちを整理させて頂こうと思う。「米国で働く」と一言に言っても、実はその中にはいくつものオプションが含まれる。具体的にどういうパターンが有り得るのか、もう一歩踏み込んで考えてみようと思う
最大の要素、「日本カード」について
一言で「米国で就職する/働く」と言っても、実はその中にもかなり幅がある。具体的には、大きく言うと以下の二つに分かれる
· アメリカ人として就活する/働く(日本人であることを生かさない)
· 日本人として就活する/働く(日本人であることを生かす)
前回「米国就職は難しい」と書いたが、正確に言うと、一般の日本人MBAにとって、前者の「アメリカ人として」アメリカで就職し、サバイブし、のし上って行くのは難しいということ
· 補足1: もちろん、それは不可能じゃないし、実際にそれをやってる気合の入ったカッコいい日本人の方々も実は結構存在する。ランダムにぱっと思い浮かぶ範囲では、元コンチネンタルエアラインSVPの鶴田国昭氏、元McKinseyで元ルイビトンジャパンCEOの藤井清考氏(今は日本)、シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト原丈人氏、GEの藤森義明氏(今は日本)などなど
· 補足2: また、MBAとしての就職からは離れるが、特に専門性が高く、「手に職」系の分野、特にカルチャーや教育制度上の理由によりアメリカ人が手薄になりがちな理系の分野では比較的多くの日本人(外国人)が活躍している(コンピューターサイエンス/エンジニアリング、バイオ/医薬/医療、技術者、科学者、金融工学、建築、芸術、ファッション/デザイン、職人、その他アカデミック全般)。つまり、「ビジネス」や「マネジメント」ってのはある意味コモディティで代替可能性が高く、往々にして多くのアメリカ人にも出来ることなので、外国人にとって最も障壁が高い分野の一つということ。とほほ…
実は、後者の日本人であることを生かせる仕事/そもそも日本人を取りたいというポジションを狙えば、(その人にとってキャリア上筋がいいか、個人の価値観/人生観に合うかは全く別として)就職の難易度は一気に下がる
· このブログで書いている難しさのレベル感/背景が当て嵌まらず、打ち手のところで書いてあるような気合入りまくりの対策も不要なケースが多い
そこをある程度戦略的、フレキシブルに捉え、選択肢に取り入れれば、純粋に「米国で働く」という目的に関してはかなり実現可能性が出てくる。と言うわけで、以下、それらも含めた具体的なオプションを幅出し
米国就職に於ける8つのオプション
(赤字の難易度評価はあくまで米国就職オプション内での相対評価。僕個人の感覚値。個別事情を抜きにした一般論)
A. 「日本カード」を切るオプション(より日本寄りのものから順に)
· (1)日本企業の米国オフィスの現地採用: 易
o Boston Career Forumで募集している、○○銀行NY支社、××製造Chicago支社、みたいなケース
o 前述の通り、単に物理的にアメリカで働く/住むことは達成されるが、それ以外は日本で日本企業企業の中で働くのに限りなく近い上、権限/責任が限定的でトップマネジメントに繋がりにくく、MBA卒のキャリアとして将来ガチで経営人材を狙うなら薦めないという意見が多い
· (2)(期間は短くなってしまうが)日本支社採用で、短期(半年-1年)の米国研修/temporaryトランスファー: 易
o コンサルティングファーム/投資銀行や外資系事業会社の日本支社で制度があるところ
o 採用時の「売り/餌」としての意味合い、トレーニング/グローバルネットワーク強化の意味合い
o 但し、不況下の予算削減で下火に
· (3)日本/アジア株投資を専門に扱うファンド/ポジション: 中-難
o NY、Boston、SFにいくつかあるファンド、VC(Taiyo Pacific ParntnersやTiger Asia Management等)
o 毎年数人の日本人MBAが就職
o ポジション数が少ないのと、金融経験が求められるケースが多い
· (4)在米国際金融機関の日本人枠: 易-難
o 具体的にはIFC, IMF
o 各国の金融市場/経済を理解し、その国の言語を操れる人材が必要
o ポジション数が少なく、金融経験が必要?
· (5)在米日本法人を対象にしたプロフェッショナルサービス: 易-中
o 大手会計事務所(Deloitte, E&Y, PWC等)、及びその中のコンサルティング部門のJapan Service Division
o 但し、日本企業相手で顧客や同僚の多くが日本人
o 加えて、会計ポジションは一般的にMBAが行くような仕事ではなく給与も低い。コンサルティングポジションは激レア
· (6)将来の日本/アジアの幹部候補、日本進出の際の日本オフィス立ち上げメンバーとして本社で採用: 難
o 事業会社、PE、ブティック/新興コンサル等
o 日本の年功序列のプロモーションの時間軸を短縮して飛び級的にマネジメントを狙える、本社での経験/ネットワークを強みに出来る等のアップサイド
o 如何せん数が少ない
· (7)日本企業の米国市場進出/米国支社立ち上げメンバー/経営陣: 難
o ごくごく稀に存在(オンラインゲーム会社、インターネット系、アニメ/キャラクター会社 等)
o (1)に比べて圧倒的に権限/責任があり、完全に米国企業/消費者が対象となり、チャレンジングでやりがいがあるケースが多い
B. 「日本カード」に頼らないオプション
· (8)日本人/アジア人であることは一切関係なく、アメリカ人と完全に同じプールで採用: 難-激難
o 特殊技能/経験を必要とするポジションに刺さるものを持っていれば比較的可能
o そこまで人気の無い事業会社であれば可能性が上がる
o 人気企業、トッププロフェッショナルファームはハードル高し
o 特にこの不況の中では相当エグい(アメリカ人の優秀な奴ですら厳しい)
*ちなみに、アメリカで自分で起業、というのもありますが、「就活」という本記事のスコープから外れるのでここでは触れません
オプション選択の評価軸
大前提として、どのオプションがいい/悪い、優れてる/劣ってる、カッコいい/悪いという話では全くない。その人個人の事情、価値観、キャリアプラン次第。それを踏まえた上で、では、どういうクライテリアでどのオプションを選ぶべきか。大きく「目的」と「その後キャリア/人生設計」の2つの視点から考える
(1)そもそもの目的は何か?
○プライベートな理由
· 配偶者がアメリカ人、米国勤務/留学中等でアメリカに住む必要がある
· アメリカに住みたい(アメリカの文化/エンターテインメント/スポーツが好き、生活が好き〔ワークライフバランス/物価/広さ〕、子供の教育上)
→これがメインの理由であれば、オプション(1)が有力候補に
○キャリア上の理由
· 自分のやりたい仕事を追及したら結果としてアメリカがベスト(コンピューターエンジニアリング/サイエンスの最先端、バイオ/R&Dのプロ、VC/金融最前線、スポーツビジネス、起業 等)
→多くの場合オプション(8)でガチで戦うことに。但し、自分にそれに見合うエッジ(専門性/経験)があれば逆に戦い易い場合も
· グローバルで戦える人材になりたい(英語力、異文化マネジメント力)
→オプション(1)だと達成されず、(2)、(5)だとちょっと弱いか
· アメリカ/世界の経営について身をもって学びたい、アメリカ人のエリート/リーダー層人材と働いてみたい
→(8)と(6)。(2)も短期間ながら多少達成
· 将来的に本社での経験/ネットワークをレバレッジしたい
→明確にその後のアジア/日本でのキャリアに繋がる(6)がベスト?
· 実力主義で早く上がりたい(日本の年功序列は嫌)
○想い/こだわり系の理由
· 単純に難しいことにチャレンジしたい、新しいことを経験したい
· 単純にアメリカ人に勝ちたい、日本人の実力を証明してやりたい
→(8)、(6)、(3)?、(4)?
(2)その後の人生/キャリアをどう設計するか?
○将来どういう戦場(国/産業/会社)で、どういうポジショニング/戦い方をしていくか?どういう自分になりたいのか?
→(8)が悩ましいのが、長期的にここが見えにくい点。アメリカで一外国人として、短期的にサバイブするならまだしも、長期的に自分の能力を最大限に生かし、抜きん出て行けるのか、多くの人を引っ張っていけるのか、自分だけの代替不能なインパクトを最大限に世の中に与えていけるのか、そもそもアメリカ人として一生生きるんだっけ?それが一番ハッピーなんだっけ?10年後、20年後にアメリカの相対的ポジションが落ちまくった中、それでも尚アメリカが筋がいいんだっけ?と言った点が今すぐには見えて来にくい。
→まあ、とは言ってもやってみなきゃわかんないし、現実的には実際に働きながらトライアル&エラーで自分なりの戦い方や答えを見つけていくしかないと思う
○だとすると、何年アメリカにいるか?どのタイミングでどこに行く/日本/アジアに帰るか?
→米国経験後のキャリア/人生に効率よく繋げていくなら(6)がベスト?短期限定のお試し体験と割り切るなら(2)
→逆に、もし一生アメリカに住みたいなら、(2)、(6)は除外
オプションに関しての結論
以上を踏まえ、自分に合う形でいくつかのオプションを多少幅広に抽出・ミックスしてポートフォリオを組んだ上で就活し、実際にオファーが揃った段階で自分なりのクライテリアに照らして評価/判断する、というプロセスが最も現実的で確実か
また、最終的に(8)を狙うにしても、ステップ論で考え、最初は(1)-(7)で数年を過ごし、それをstepping stoneとして、英語力、ネットワーク、経験を積み上げた上で(8)にスイッチするというやり方も十分に有り得ると思う(特にこの不況の間は)
前回の記事で述べた「米国就活の概要」、「難しさのレベル感」、及びこれから述べる「難しさの背景」、「打ち手」は、どちらかというと(8)の「日本をレバレッジしない形での就活」、または(6)「将来の日本/アジア幹部候補としての本社採用」を前提として書かせて頂いてます
· (8)に挑戦したいという方も多いでしょうし、最も難易度の高いオプションを前提に対策をすれば、他のオプションは十分足りるはずということで
· 実際に(8)をメインのオプションにしないなら、そこまで難しくはないですし、そこまで気合入れて対策する必要も無いかもです…(むしろちょっとのれんに腕押し状態で拍子抜けするはず…)
要は、(8)以外のオプションを目指す方を必要以上に脅す/日和らせることになったらまずいな、と思い今回の章を挿入させて頂きやした。
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てな訳で次回から再び本題のトラックに戻って行きます。次回の記事はこちら。
IM Class of 09
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