MBAアメリカ就活マニュアル(1)概要

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引き続き米国MBAの就職戦線は歴史的壊滅状態が続いている。結局卒業の時点でアメリカ人の2年生の3割が職無し状態。しかも就職する7割のうち、1-2割は、企業側から就業開始の先延ばしを提示され卒業から半年-1年後まで働けない。1年生はさらに厳しい状況と聴いている。それでもKelloggはまだましな方で、金融系の学校、2nd tierの学校はさらに辛い状況との事。トップスクールを出てプーになるとは入学時は誰も想定していなかっただろう。(詳しいアップデートは前回の記事のコメント欄に)  IMG_38022.JPG

(朝起きてふと窓の外を見るとミシガン湖の上に超ベルベットな東の空。Evanstonの最高な
環境も後ちょっとかと思うと名残惜しくなり思わずパチリ。OasisのWhateverのジャケ思い出しました)

 

さて、前回前々回と米国内での就職活動のことを書いてから何人かの友人や受験生から「続きが読みたい」との嬉しいお言葉を頂いた。さぼっててすみませんでした…つかナメック星?と錯覚するくらい筆が重くなっちゃいまして…やっとこさ続編。

大きく3回に分けて、(1)そもそもどういうゲームなのか?という概要、(2)何が難しいのか?というゲームのルール、(3)じゃあどうやって戦えば勝てるの?という戦略/戦術、の順番でお届けする予定。

最初にお断りしておきますが、これまでの通常の記事とかなり毛色が違う、特殊な記事です。受験生の方全体へ向けた報告/日記というよりも、今後アメリカでの就職を目指すKelloggや他校の日本人MBA留学生の方々に向けてのハードコアな「マニュアル」という位置づけで、ガチで超実用性重視で書かせて頂いてます。分量もかなり多めですし、要らない写真も排除し、最も伝達効率の高い形式/書式になるよう工夫してみました。

 

従ってこれまでの記事のように画面上でリラックスしてサラッと目を通す、という読み方よりも、方法論を学ぶためにプリントアウトしてアンダーラインを引きながら精読する、という読み方の方が適してるかもです。米国での就職を考えてらっしゃる方に少しでもお役に立てれば幸いですし、その気は無い方にとってももしかしたら読み物としてちょっとくらいは面白いところもあるかもです。

 

この記事を書くに当たっての想い

 

前回、前々回の記事でも再三述べてきたが、僕自身MBAに来て以来確信を深めた一つの信念がある。何十年という時間軸、人生の終わりまで、そして子供たちの人生まで、というスパンで見たとき、マクロな環境がゴリッと変わり、それに伴いゲームのルール/パラダイムが変わる中で、今後日本が誇りを持って、ハッピー且つしなやかでい続けるためには、世界の土俵で戦えるリーダーやプロフェッショナルの層を今よりもかなり厚くしていくことが必要不可欠だと思う。そして、せっかく海外のトップスクールで学ぶという素晴らしい機会に恵まれたMBA留学生のような人たちがこそ、日本の中に閉じ篭ることなく、リスクを取って、楽しみながら、ガンガン海外に出て行く/グローバルな土俵に挑戦していくべきだと強く信じる。(ちなみに中国やインドの友人たちは見ててこっちが気持ち良くなる位それを実践している。)

 

ところが、(僕が知る限り)米国での就職は、日本人MBA留学生の方々の多くが一度は考えるものの、実際には踏み出さなかったり、やっても腰が引けた状態で中途半端にお試しでやるだけだったり、結果としてよく分からぬまま結果が出ず、結局日本に帰るというケースが大部分で、実際に最後まで貫き通す方は少ないように感じる。いいか悪いかは別として。(ほとんどアメリカで生活してましたみたいな実質アメリカ人な日本人を除くと、)トップスクール十数校の日本人留学生1学年約100人の中で、実際にアメリカで就職する人は恐らく年間数人というレベルじゃないだろうか。

 

その背景には、(1)そういう意思や気概を持った母集団が少ないと言う根源的なボトルネックも去ることながら、(2)単純に「日本人としての」アメリカでの就職活動の実態/ゲームのルールが良く分からないという理由、(3)挑戦はするものの、正しい戦い方/対策が分からないため(またはやる途中で理解するが時遅く)結果が出ずに諦める、という要因も少なからず存在すると感じる。一つ目のファクターは僕個人の力で短期的にどうにか出来る事じゃないが、二つ目、三つ目の要素に関しては、経験者が自分の経験とそこからの学び/知恵を形式知化してシェアすることでそれなりのレベルまで取り除けるんじゃないかと思っている。

 

自分の場合、無鉄砲で愚直な(要はアホな)性格、自ら進んで獣道や茨の道を歩きたがるという軽くどMで変態じみた性癖も手伝い、無謀にも、初めての海外経験であるにも関わらず、この絶不況の中アメリカの就職一本に絞って勝負を懸けるという賭け(つか暴挙)に出た(巻き込まれた家族は大迷惑…)。

 

派遣元の会社を退職し、日本でのオプションを一切無視して米国一本に絞るという背水の陣で活動した。がっつりフルコミットでプロセスの中に身を投じ、アメリカ人の戦友と行動を共にしつつ、徹底的に情報収集した上で戦略を立ててアプローチし、実際にかなりの数の面接をこなし、幸いにもいくつかの企業で最終面接まで進み、オファーを頂く事が出来た。ハードコアな帰国子女じゃない、純ドメジャパニーズでここまで(ある意味無謀に)米国での就職活動をやり切る方もそんなに多くは無かったんじゃないかと思う(そんなアホな人もそうそういないって言い方も出来ますが…)。であるが故に、自分の経験とそこからの学びを後に続く同じ想いを持つ日本人の皆さんに共有することで微力ながらお役に立てるかも知れないし、少なくともそうする義務があるんじゃないかと感じている。という訳で書かせて頂きました。

 

思うに、この1-2年は不況の影響でジョブマーケットが死滅しており、もしかしたらこの記事のメリットをダイレクトに享受し、アメリカやその他海外での就職を果たす人はごくごく少数かも知れないとも思う。それでも尚夢があるなら、後悔したくないなら、チャレンジは絶対にするべきだと信じるし、仮にダメだったとしてもそのチャレンジは決して無駄にはならないどころか素晴らしい財産になると信じる。そして、3年後-5年後に景気が回復した後、直接この記事を読んだ方々や、そこから派生した想いを共有/継承する方々が生まれ、将来より多くの熱くて優秀で尖った日本人の方々が国境を越えてグローバルに活躍し、成長し、そしてそのプロセスを存分にエンジョイすることになれば、そしてそれに少しでも力添え出来るならば、最高にハッピーです。

 

「Kelloggならでは」

 

一瞬、一個だけ。一応Kellogg在校生ブログなので、Kelloggならではの話を少し。僕自身Kelloggでの二年間を過ごし、間違いなくKelloggは世界最高の学校だと心底信じている。そしてこの2年間、他のトップスクールでは決して経験できない、Kelloggならではの体験をたくさんさせて頂いたことに感謝している。その中でも最大の収穫の一つは、この、アメリカで全力で就職活動をし、多くのことを学び、この不況の中実際に望んでいたオポチュニティを手できたことだった。これは、少なくとも僕にとっては、Kelloggに来ていなければ、他のtop schoolに行ってしまっていたら恐らく達成できなかったことだと思う。

 

Kelloggの就職マーケットでの一般的な強さに関しては前回の記事で既に紹介しているが、「特に日本人が米国で就活をする上での」Kelloggならではの良さを改めてクイックに確認させて頂きたい。(毎回自分で自分の学校のことを持ち上げるのは我ながら気持ち悪い限りなのですが、ブログの趣旨ということでどうかご容赦下さい。)

·          top schoolとしての確立したブランド

·          特に、General Management/事業会社への圧倒的な強さ(この点は上位プロフェッショナルファームへの就職が極めて難しいinternational生に取っては非常に重要な点。事業会社からの評価では誇張抜きに間違いなく全米No.1と言い切れると思う。頭でっかちではなく、エリートエリートした高慢さが無く、人間力/チームワーク/コミュニケーション力に優れ、バランスの取れた学生が多いというレピュテーション。現に僕が行くことになるグローバル企業はKelloggが最上位のターゲット校だったし、いくつかの有力事業会社は、金融スクールや、アグレッシブな校風の学校を意図的に採用ターゲットから外したりしている)

·          コンサルティングへの強さBCGMcKinseyBainでの最大勢力の一つ)

·          結果として、インターナショナル生を採用する企業の数と種類が最も豊富

·          Chicagoという大都市にあるという立地条件(多様なインダストリーをカバーし、東西両海岸から企業が採用に訪れる)

·          就職課のサポート力/コンサルティング力の高さ(特にインターナショナル生向け)

·          学生生活のフレキシビリティの高さ(思いっきり就活にリソースを割く事が可能)

·          アメリカ人の中に入り込み、アメリカ人の感覚/マナーで、英語で戦う能力を鍛える効率の高さ(今考えると実はこれが一番重要だったかな…?

 

さて、痒くて痛い自演乙な宣伝はこのくらいにして本題に突入。

 

目次

1.Why米国?   

2.前提条件       

3.全体像    

4.難しさ

·          難しさのレベル感

·          難しさの背景

 

5.戦略/tips

 

1.Why米国?

 

ここは前回、前々回の記事でかなりがっつり書かせて頂きましたので今回は割愛させて頂きます。(前回前々回の記事のリンクはこちら)

 

2.前提条件

 

議論をする前に、話の土台をガチッと固めるべく前提条件をちょっとだけ整理。

 

(1)ここで言う米国での就職とは、米国企業への就職のこと。つまり、日本企業の米国支社での現地採用(Boston Career Forum等で募集している○○銀行NY支店の現地スタッフ等)は除く

 

もし、「単純に物理的に米国に住む/で働く」ことが目的ならば後者は全然あり

·          日本人を採用する積極的な理由があるため、前者と比べ、圧倒的に簡単に就職出来る。その後のサバイブも簡単

 

ただし、キャリア上の意味合いは大きく異なる

·          責任/権限が限定的で、本社でのマネジメントキャリアにつながっていかないケースが多い

·          異文化の中で、本質的なインパクトを生める仕事をする、チャレンジングな仕事を通して成長する、日本の経営ではなくグローバルな経営を学ぶ、より年功序列色が薄く実力主義色が濃い場で働く等の他の目的が達成されないケースも多い

 

従って、「将来的にトップマネジメントのキャリアを目指すならば後者は薦めない」(多くの経営者の先輩/ヘッドハンターのアドバイス)

·          将来転職の際に前者であれば経験/チャレンジとして評価されバリューが付く

·          後者は必ずしも評価されないケースが多い

 

(2)ここで話す就職活動は、卒業後の本採用(フルタイム採用)。サマーインターンのみの採用を除く

 

サマーの採用はフルタイムに比べて圧倒的にハードルが下がる

·          制度上の違いにより、ビザが不要(学生の夏休みの研修という位置づけ)

·          ロングタームのコミットではないので、企業側のリスクが圧倒的に少ない(「お試し採用」が可能)

·          大企業でなければ、給与、内容、期間など、かなりフレキシブル

·          従って、知り合いや卒業生のいるの中小企業/ベンチャー/ファンドで激安/無給で働く、みたいな技がかなり使える

 

一方で、フルタイムオファーを貰うためのツールとしてサマーは極めて重要なので、そういうコンテクストで後ほど触れます

 

(3)あくまで、現時点での話。将来いろんな前提が大きく変わるはず

 

採用の状況、就職の難しさは、経済状況、国ごとの相対的ポジション、法律/制度によって相当大きく振れるはず

·          現に10年前、2-3年前と比べ、現在の米国での就職の難易度が大きく変わっている(かなり難しくなっている)

·          裏を返すと、3年後、5年後には今と全く変わってる可能性もある(すごい簡単になってるかも知れないし、逆にさらに難しくなってるかも知れないし)

 

僕自身、感覚的に、2年前、1年前に就職活動をしていたらもっと全然楽だったと思うし(それでラッキーパンチで就職しちゃってから不況になってクビ切られてたら最悪シナリオだが)、逆に1年後にやっていたらもしかしたら一つも内定を貰えていなかったかも知れないと思う

 

3.全体像

 

(1)スケジュール

 

1年(サマーインターン向け就活)

·          9-12月: 学校の就職説明会各種、業界/企業説明会、レジュメ/カバーレター作り、業界/企業研究、ネットワーキングスタート

·          1-3月: オンキャンパスインタビュー(1次)、各社での最終面接(2次)、サマーインターンオファー

·          1-6月: オフキャンパスリクルーティング

 

夏休み

·          6-8月: サマーインターン

·          8-9月: インターンのパフォーマンスを受けて、(出る人には)フルタイムのオファー

 

2年(フルタイム向け就活)

·          10-11月: インターン後のフルタイムオファーのaccept/declineの締切

·          9-10月: (秋学期始まってすぐに)業界/企業説明会

·          10-12月: オンキャンパスインタビュー(1次)、各社での最終面接(2次、会社によっては3次も)

·          11-1: フルタイムオファー

·          9-卒業まで/卒業後も: オフキャンパスリクルーティング

 

(2)プロセス

 

米国就職活動の入り口として、ここをしっかり理解しておくことが重要。日本のMBA採用とも、日本の大学時代の採用とも仕組みがことなるので

 

オンキャンパス採用とオフキャンパス採用の二つのカテゴリーに分かれる

 

 

·          A)オンキャンパスリクルーティング

o    採用企業が、(1)学校のルールに則り(採用の日程、面接学生数、オファー後の縛り等)、(2)学校の仕組を使い(イントラサイトでのjob posting/募集/学生データ閲覧/レジュメ回収/インタビュースケジュール設定)、(3)一時面接では物理的に学校に訪れて、就職課の面接室を使って面接をする、という仕組み

o    10月の中旬から5週間の間、約200-300社が入れ替わり立ち代り訪れる

o    要は、ベルトコンベヤー方式/大量生産流れ作業方式

o    学生側としては学校でまとめて多くの企業を同じ形式で受けられるため、圧倒的に便利

o    企業側としてもより多くの学生に確実にリーチ出来る

o    卒業生の進路の大部分を占める主要な就職先(大手コンサルティングファーム/投資銀行、その他金融機関、大企業)はほぼこちら

o    BainMcKinseyや一部の事業会社など、学校のルールの縛りを避けるため、敢えてオンキャンパスリクルーティングのタイミングで学校の隣のホテル等で同じく流れ作業で大量に面接を行う企業がいくつかある。これらは厳密に言うとオフキャンパスだが、実質的にはオンキャンパスとほとんど意味合いが変わらないため、ここでは便宜上オンキャンパスに分類

 

 

·          B)オフキャンパスリクルーティング

o    要は上記じゃないパターン

o    MBA向けにオンと同じタイミングで近いプロセスを踏むところもあれば、全く関係なくMBA以外の人材も含めて募集しているケース、そもそも表向きに募集すらしてないケースまで幅広く存在

o    学校からジョブポスティングがあるとも限らず、企業から働きかけてくるとも限らない。その場合、自己責任でこちらから勝手に採用募集を見つけ、売り込む/採用募集が無いところに無理やりねじ込む必要。基本的にはルール無しのゲリラ戦

o    結果、人(卒業生/友人/元同僚)の紹介、ヘッドハンター経由、各社のHPLinkedinといったチャネルに頼ることに

o    人脈を駆使し、会ってもらい、売り込むという、極めてsocialでアメリカ的なプロセス

o    また、競争相手がMBA生以外にも広がるケースも多い(MBA卒業後何年もたった卒業生や、コンサル経験者、MBAは無いがその世界で何年も経験を積んでいるプロたち、場合によっては自分よりも若い相手等)

o    オンよりも具体的な売り/差別化(経験/スキル/人間性)と強いコネクション/ネットワークが必要に

o    従って、難易度が上がり、アメリカ人じゃないとさらにハードルが上がる

 

実際の流れ

·          多くの学生がオンキャンパスに参戦し、オファーを獲得

·          オンキャンパスで決まらなかった人、及びそもそもオンキャンパスで採用していない企業(ブティックタイプの小型コンサルティングファーム/ファンド、中小企業、ノンプロフィット、ベンチャー系)をターゲットにしている人がオンキャンパス終了後にオフキャンパス活動を開始

 

日本人を初めとしたインターナショナル生にとっては、基本的にはオンキャンパス採用で正面突破というのが王道パターン

·          (詳しくは後述するが)就労ビザのサポートをし、インターナショナルの学生を採用する企業(30-40社)は、往々にして毎年MBA10-100人採るような、大企業/大手プロフェッショナルファーム

·          それらの企業のほとんどがオンキャンパス採用

·          単純に、「このビジネススクールから人を採りたい」という意思/ニーズを持ってわざわざ来てくれてる企業、さらには「外国人でも優秀なら採るよ」と言ってくれてる企業を狙った方が勝機があるに決まってる

 

日本人にとっては、オフキャンパスでのゲリラ戦も無くはないが、ハードルは高く、かなり人/企業を選ぶはず

·          オフキャンパスは定義により規模の小さい企業、2nd tier/小粒だがぴりりと辛いプロフェッショナルファーム、ファンド、ベンチャーなど

·          そもそもインターナショナル生を一切採らないところがほとんど(後述するビザの問題、リスクの問題)

·          かつ、仮にインターナショナルを取る可能性が有ったとしても、高い実力/特殊スキルが必要だったり、人脈を使って探し出して仲良くなってねじ込むなど、アメリカ人以外にとって特にハードルが挙がるケースが多い

·          従って、オフキャンパスではアメリカ人とインターナショナル生の差が如実に出がち

·          例外的に可能性があるのは、スペシフィックなニーズがある業界/職種に対し、稀少で突出した強み/経験がある場合

o    例) 医薬品R&Dの経験のあるMBA、携帯電話の戦略が分かる元Venture CapitalistMBA、中国の消費財マーケティング経験のあるMBA、アジア勤務経験があるBCGMcKinsey出身者限定 等

 

なので、実際にはオンキャンパスを軸に、自分が興味があり且つ勝てそうなオフキャンパス求人があれば個別に混ぜていくという戦い方を取るのが現実的か

 

 

オンキャンパスでは、インタビューを受ける権利を獲得することが最初にして最大の関門

·          仕組は、一言で言うと、「実力主義+救済措置のハイブリッド型椅子取りゲーム」

o    当然のことながらどの企業も全ての学生を面接出切る訳ではない為、各企業10-60人程度の面接枠が存在(だいたいどこも20-30人、top tierのコンサルのみ40-60人)

o    その席のうち半分が、企業がレジュメで面接に呼ぶ人を指名する、完全実力主義枠(通称closed list

o    残りの半分の席が、学生の持ち点(ビディングポイント)の競り制度による、売れ残りの売り込み枠(通称open list

·          Closed listに載る事が鍵

o    確かにopen listからの内定も不可能ではない

o    が、企業が自ら欲しいと思って指名して来るclosedの方が圧倒的に勝率が高い(企業によってはopen listはあからさまに形式だけの面接/消化試合だったりする)

o またopen listもポイントの持ち点に限りがあるため、多用はできない(BCGなど人気企業は一社で全ポイントを消費しないと面接が受けられない)

o    従って、基本的には前者のclosed listにどれだけ呼ばれるかが全て

·          そのためには、強いバックグラウンドとそれを魅力的に伝えるレジュメが必要

o    具体的な戦略は後述

·          でも、日本人初め外国人はほとんどここで切られてゲームオーバー

o    恐らく多くの日本人は、ほとんどの会社でclosed listにすら載らない(面接のお呼びすら掛からない)という現実

o    載る例外と、載るための方策は後述

 

(3)時系列でのオファーの状況(サバイバルレート/歩留まり)

 

で、実際にどのくらいの数がどこでオファーを貰っていくのか、という歩留まりの数字が一番知りたいところだと思うので、そこをご紹介

·          当然の事ながらfinancial crisis突入前後で全く別の世界観なので、分けて記載

·          2年生全体600人のうち、米国で就活する500人を全体(10割)とした場合の、ざっくりとした数字感

·          繰り返しになりますが、あくまで現時点でのスナップショット。状況が変わればこの数字は大きく変わる

 

リーマンショック以前: Class of 08のフルタイム(08年秋入社)、及びClass of 09のサマー(08年夏)採用までの世界観

·          1年目

o    サマーインターンのオファー獲得: 9割超

o    サマー後のフルタイムオファー: 6-7

·          2年目

o    サマー後のフルタイムオファーをaccept: 5-6

o    入学前の企業の戻る: 1

o    フルタイムの就活に参戦: 4-5

o    オンキャンパスでオファー獲得: 3-4割(フルタイム参戦者のうち6-7割)

o    オフキャンパスでオファー獲得: 1-2割(フルタイム参戦者のうち3割)

o    卒業時点で就職先が決まってない人: 数%(限りなくゼロ)

 

リーマンショック後: Class of 09のフルタイム採用、及びClass of 10のサマー採用以降の世界観

·          1年目(Class of 10の実績)

o    サマーのオファー獲得: 5-6

o    サマー後のオファー獲得: 不明(個人的には3-4割じゃないかと読んでます)

·          2年目(Class of 09の実績)

o    サマー後のフルタイムオファーをaccept: 4-5

o    入学前の企業に戻る: 2

o    フルタイムの就活に参戦: 5-6

o    オンキャンパスでオファー獲得: 1-2

o    オフキャンパスでオファー獲得: 1割未満

o    卒業時点で就職先が決まってない人: 3

 

以上の数字を見ると、いかにリーマンショック前後でパラダイムが変わってしまったかが分かると思う

·          リーマン前は2年間掛けて、順調にほぼ全員の就職先が決まっていっていた

·          ところが、リーマン後は、全てのフェーズでのオファーが半減以下に

 

目次

1.Why米国?   

2.前提条件       

3.全体像    

4.難しさ

·          難しさのレベル感

·          難しさの背景

5.戦略/tips

 

 

4.日本人MBAのアメリカでの就職の難しさ (1)難しさのレベル感

 

オブラート排除で行きます

 

このゲームを制するためには、戦う前から厳しい現実に対し目を背けることなく真正面から見つめ、難しさの本質と原因を理解する必要があると信じている

·          ゲームのルールとチャレンジを知らないことには攻略法は立てられない

·          実際にやってみれば遅かれ早かれどうせ気付くこと

·          最悪シナリオは、現実を知ることなく、根拠無き楽観主義に基づき丸腰で銃弾飛び交う戦場に飛び出して蜂の巣になり、「ああ、もっと早く現実を理解して対策を立てておけば良かった」となること

 

従って、ここから先の記述では、一切誤魔化すことなく、オブラートに包んで耳心地の良いことを言うことなく、淡々とニュートラルに客観的なファクトを書かせて頂く

 

結果として、非常に厳しい内容になる

·          読んでて必ずしも楽しいものじゃない

·          これから海外での就職に挑戦してやろいうという気持ちの方々にとって、非常にネガティブに聞こえてしまうかも知れないし、あたかもその情熱に冷水を浴びせかけ、踏み止まらせる方向に働くかもしれない

 

でも、どうか、引かないで下さい

·          本当の意図は、同じ思いを持つ日本人の後輩の皆様に成功して頂くこと

·          物凄く大変に見えるが、決して不可能な戦いでは無いし、きちんと戦略を立て、賢く努力すれば突破可能だと信じている(特に景気が回復した後は尚のこと多くの人にとって現実的なオプションになると思う)

 

結論から言うと、「かなり難しい」。不況の間は「ぶっちゃけ不可能に近いかも…」

 

ご想像の通り、日本人MBA学生の米国での就職は非常にハードルが高い

·          トップスクールの日本人100人のうち、「アメリカ人みたいな日本人」を除けば、実際に米国で就職する人は毎年数えるほど

·          特に、アメリカ人の優秀な学生ですら3-4割が路頭に迷うこの不況の中ではほぼ不可能

o    Class of 09でかろうじて達成している人は、不況突入前のサマーまでに決着をつけた人が多い(サマー直後の8-9月に滑り込みセーフでオファーを獲得)

·          「ちょっとお試しで」、「日本を軸に考えるけど、一応受けてみっか」みたいなテンションだと秒殺でゴミ箱行き。一刀両断され斬られた感覚すら残らない、みたいな

 

特に日本で就職活動をするのとは全く別次元の大変さになる

·          後述する就労ビザや言葉/文化の壁という大きなハンデに加え、競争相手となるアメリカ人学生の(特に上位10%の上澄み層)の数と質(実力と真剣さ)、採用企業から求められる経験/実力/フィットのレベルが全く異なる

·          結果として、日本ではtop tierのプロフェッショナルファームも含め1010勝の人も、米国では、全く歯が立たず、1010敗、そのうち9試合は書類選考で切り捨てという悲しい感じになる

·          日本では、バックグラウンドが強く能力さえあれば、ろくな対策もせず「別に行く気は無いんだけどさ、どんなもんか知りたくて…」とひょろっと冷やかしで受けたトップコンサルティングファーム2社にさらっとオファーを貰うということもあり得る

·          が、アメリカではそれは絶対に無いと断言出来る。どんなに優秀な人でも、コミットして時間を使い、その企業と仕事に対するやる気とロジックを作りこみ、やるべきことをきちんと、高いレベルでやらないと土俵にすら乗らない。

 

ハンデはかなりでかい。イメージとしては、日本のジョブマーケットでの自分の戦闘力が半減どころか「8割引」

·          決してアロギャントになる訳じゃなく、客観的に見て、自分の場合、日本ではそれなりに強い部類に入るキャンディデートだったと思う

o    別に自分が特に優秀だと言う訳では決してなく、単純にレジュメの強さ(所謂一流大学、トップコンサルティングファームで6年の経験/マネジメントポジション、幅広い業界/ファンクション経験、解り易いアチーブメント/リーダーシップ経験)、キャラ(人と話すの大好きで前向きな性格)だけで

·          ところが、米国の就活に於いては、「中の上」程度になった感じ

o    確かに、肩書き/経験は凄そうと言ってもらえる

o    でも所詮外国人。英語も不完全。アメリカの文化や会社、消費者のことも分かってない

o    (大変失礼且つ高慢な言い方で恐縮だが)英語力を除けば能力的に絶対に負ない自信があるアメリカ人が呼ばれる/オファーを貰うのに、自分が呼ばれない/貰えないこと多々

 

正直、難しさのレベルは当初の想像をかなり上回った

·          自分が会社を退職し、米国で就職活動をすると言った際に、前職の諸先輩方が、「(想いは買うが)ほぼ不可能だから辞めておけ」と仰って下さった

·          過去に多くの日本人MBA留学生たちが挑戦しては砕け散っていたことも知っていた

·          それでも尚、当初は、心の底では自分なら何とかなると思っていた(だからこそ無謀にも日本のオプションを全て切って挑んだ)

·          が、いざ実際にやってみて、全く持って甘かったと気付かされた

o    難しさのレベル感が思っていたよりも五段階くらい高かった

o    難しさの背後にあるメカニズムの理解が不十分だった(実力や努力じゃどうしようも無い不可抗力ファクターも相当あると気付いた)

o    特に不況の影響は想定外だった

o    先輩方の言葉、散って行った日本人留学生諸先輩方の立場が非常によく分かった

 

道中なぜか暗い部屋で懐かしのファミコンソフト、伝説的クソゲー「スペランカー」の1面を延々やり続けるという悪夢にうなされ、「ムキーーーッ!!」と叫びながら汗だくで夜中に起きるという不祥事に見舞われましたが、それも納得の茨の道ですた…

 

 

と、ただ「難しい」と言ってるだけでは何も生まれないので、ここから先ガンガン深掘りして、何が難しいのか、どうやれば勝てるのかを考えて行きます

 

難しさを軽減するファクター

 

これだけ難しいと言っておきながら矛盾するようにも聞こえるが、(多くの日本人は当て嵌まらないものの)中には比較的簡単に米国で就職出来る人たちも存在する

ゲームのルール上、例外的に、これから紹介する「難しさの要因」をスルリと通り抜けて簡単に就職できてしまうバックグラウンドの方々もいる。羨ましい限り…

以下、バックグラウンド的に、何が有利に働くのか/働かないのかをクイックにご紹介。

 

(1)米国での就職を「圧倒的に」有利にする要素

·          米国籍/グリーンカード/就労ビザを持っている

o    後に詳しく述べるが、就労権が無いことが採用側から見た最大のボトルネックになるため

·          Undergradで米国の名門大学を出ている/米国での就労経験がある(日本企業での駐在を除く)

o    後述するが、レジュメ上米国での経験/実績が無いということが採用の意思決定上大きなリスクファクター/ボトルネックになるため

·          英語力と感覚/行動/思考回路がほぼアメリカ人レベル

o    幼少期-思春期に掛けて長期間アメリカで過ごしていた、日本語より英語の方がcomfortable、みたいな人

·          要は、上記3つの組み合わせで、採用担当者から見て、「ああ、こいつアメリカ人ね」と見られる人

 

(2)「多少」有利にしてくれる要素

·          Top tierコンサルティングファーム/投資銀行出身で、5-6年以上のキャリアがある

o    Tangibleなハードスキルが欲しい採用側からすると非常に分かり易い売りになる

o    それらのファームに採用され、プロモーションしていること自体が優秀さの証明的に解釈される(実際優秀かどうかは全く別として、採用側の勝手なパーセプションとして

o    特にBCGMcKinseyの出身者はMBA全体の中でも少なく、さらにジョブマーケットに出てくる弾はさらに少ないため、多少稀少価値が出る

o    多くの会社のポジションのjob requirementでも、「この業界/ファンクションの経験者、またはBCG/McKinseyなどのtop consulting firm出身者」と明記されているケースも存在

o    さらに、5年以上のキャリアがあったり、マネジメントの肩書きを持っていたり、top of top performer/earliest trackだったりするとさらなる差別化に(米国ではコンサルティングファーム出身者でMBAに来るのは2-4年目のアナリスト/コンサルタントレベルがほとんどなので)

o    金融系のポジションに限り、投資銀行キャリアも同様の効果

·          アプライするポジションにダイレクトに必要なスペシフィックな経験/能力を持っている

o    例)「製薬企業のR&Dについて知り尽くしていて、且つビジネスのこともある程度分かる人」という求人に対し、薬学のPhDを持っていて、グローバルファーマの日本のR&Dで長年経験を積んできた

o    例) 医者or弁護士でビジネス経験のあるMBA求む、バイオとVC投資のプロMBA急募、等

 

(3)役に立つかもと思われてるかも知れないが、実際はほとんど役に立たない要素

·          1-2年の海外経験あり(高校/大学で1年交換留学、仕事で一年駐在、みたいなパターン)

o    レジュメ上日本人であることに全く変わりは無い。無いよりはまし、+0.2点、みたいなイメージ

·          日本人の中では特に英語が得意な方

o    求められる英語のレベルが全く違う。MBAで議論/プレゼン出来るのとは求められるものの次元が違う

·          日本企業からの駐在で米国で働いていた

o    アメリカ人としてアメリカのアメリカ企業で働くのとは全く別

·          米国企業の日本オフィスで働いていた

o    同上。そもそもその会社の米国オフィスで働いてたアメリカ人ゴロゴロいるし

 

(4)原則一切役に立たない要素

·          日本人であること

o    アメリカ人じゃなく日本人を取るメリット/理由なんてどこにもない

o    日本人をスペシフィックに取りたいポジションじゃない限り、ただひたすら大きなマイナスにしかならない

·          日本の有名企業出身である

o    「ふーん…で?」という感じ

o    積んできた経験の中身も、「文化違うし/知らない会社だし」と大幅割引される

·          日本の一流大学出身

o    誰も知りやしねえ

 

++++++++++++++++++++++++++++++++

以上、米国就活マニュアル第一弾でした。

次回からが超重要な本題。難しさの中身の分解と、そこでの戦い方について。すいません。ここまでだとただ単に「えぐいよ」と言ってるだけでまだ付加価値ほとんど付いてません。頑張って卒業までに残りのも完成させたいと思います…

 

次回以降の内容

目次

1.Why米国?   

2.前提条件       

3.全体像    

4.難しさ

·          難しさのレベル感

·          難しさの背景

5.戦略/tips

 

>第二回の記事はこちら

 

IM Class of 09

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このページは、IM Class of 09が2009年5月 6日 20:08に書いたブログ記事です。

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