第二回目は、将来交換留学を考えてみたいという方に情報を提供することを念頭に、私の交換留学を大まかに紹介したい。ご自身が交換留学をしたいというような興味がない方は読み飛ばしていただくのでよいと思う。
Kelloggの交換留学制度
Kelloggでは、ほぼ全世界各地の有名ビジネススクールと交換留学制度で提携している。校内の選抜があるが、留学先も多いし、必ずしも競争率は高くなく、かなりの可能性で希望通りのところに行ける。毎年50名近くのMBAの学生が参加しているようだ。留学時期は、2年生の秋学期か冬学期で、学校により異なる。留学先で取得した単位は、基本的にはKelloggの卒業単位として換算される。中国では、北京大学、清華大学、そして香港科技大学が選択肢としてあり、カリキュラムとスケジュールに違いがある。

(私が住んでいたエリアの駅前:朝のラッシュ)
北京大学の授業
Kelloggの授業と比べると、他のビジネススクールで学ぶことは、アカデミック面で物足りないと感じる人も少なからずいると思う。北京大学では、英語で開講されている授業は28あったのだが、大半は基礎科目であり、選択肢も限られた。
私は、結局は信頼できそうな欧米系の教授の授業ばかりを取ることにした。INSEADの客員教授によるStrategy、プライスウォーターハウスのパートナーによるTax Planning、北京大学教授だが豪州人の教授によるManaging Across Cultureという授業だ。いずれの授業も面白かったし、新しい学びがあった。中国のケースもそれなりに触れられた。ただし、一般に一つの授業あたりのワークロードはKelloggと比べて低い。受講数に制限はなかったが、2年生の秋学期は就職活動時期でもあり、他にやりたいこともあり、北京大学の授業は負担を抑え気味にした。
一方で、KelloggのIndependent Studyの制度を利用して、同じくKelloggから北京大学、或いは精華大学に交換留学をした他の3人と一緒にマーケティングプロジェクトを行った。幸運なことに、とてもよいクライアント企業から良質なプロジェクトをさせていただくことになり、私自身やりがいを感じて高いプライオリティをおいて取り組んだ。これについては、次の記事で詳しく紹介したい。
(私が住んでいたアパート)
北京大学での中国語の学習
交換留学生の中には語学にプライオリティを置く人もいる。北京大学も中国語のクラスを提供している。民間の語学学校の授業を受講することや、北京大学の学生に指導をしてもらうことも広く行われている。
私自身は、短期間には語学よりも英語を通じてより深く中国の文化・経済を理解することの方が優先だと考え、あまり力は入れなかった。ただ、事前にNorthwesternの中国語初級のクラスを受講していた。また、現地では、中国人の学生にお願いして、1対1でサバイバル中国語だけは教えてもらっていた。基礎の基礎レベルの中国語の理解とはいえ、多少とも知識を持っていることは役にたった。
北京大学の教授・スタッフ、学生との間では英語で全てコミュニケーションができるが、一歩外を出ると、英語はほぼ一切通じない。他のKelloggからの交換留学生に北京語が堪能な友人が二人もいたこと、北京大学がアサインしてくれた、お世話役の中国人学生と仲良くなれたことが非常に有難かった。
(私のアパートからの眺め:左奥に見えるのが清華大学サイエンスパーク)
北京大学IMBAコースの学生
北京大学インターナショナルMBA(IMBA)コースの学生の人数は正確には把握していないが、50名強という話を聞いた。そのうち、交換留学生は、15名から20名くらいいたのではないだろうか。トップスクールではKelloggからの3名の他、UCLAから2名程度、Chicagoから1名だった。インターナショナルMBAではトップとされるカナダのQueens、アジアのMBAランキングでトップとされることの多い香港科技大学の学生も数名いた。後は、欧州各国の様々なビジネススクールの学生が目立った。フランスのESSECから3名ほど来ていたが、いずれも学部生だったと思う。彼らは学部生ながら、IMBAの授業に参加していた。
授業に参加する学生の半分近くは、中国人の学生だった。北京大学と清華大学は、中国でNo1、2の大学であるのだが、中国においてMBAは新しい学問でもあり、決して優秀な学生ばかりが集まっている訳ではないと感じた。
また、Kelloggで当たり前である少人数でのグループワークが僅かで、基本的にはクラス全体(大人数)での議論に時間が割かれていた。個人的には、この形式は一人当たりの発言数がかなり限られてしまうのが、歯がゆかった。
(清華大学サイエンスパークの向い:古い町並みが残る)
北京大学での課外活動
IMBA学生、特に交換留学生が参加できる課外活動はほとんど聞かなかった。とはいえ、IMBAコースの企画と、日本人会の企画で、それぞれLi Ningとアサヒビールへの企業訪問の機会があった。スケジュールの都合で、前者だけ参加できた。
Li Ningは中国トップのスポーツ用品メーカーで、AdidasのNothing is impossibleという広告コピーによく似たAnything is possibleという広告コピーや、創設者のLi Ningが北京五輪の最終聖火ランナーだったことでご存じの方もいるかもしれない。余談だが、北京郊外のオフィスで驚かされたのは、新しく立派な社屋の室内に広大なスポーツ施設が設置されていることだ。バスケットボールコート、テニスコート、スイミングプール等々いろいろあるが、全部合わせるとプロのサッカー場が1~2つ近く入る面積になるのではないだろうか。そして、我々が訪問した時には使用されていなかった。まさに、中国における投資熱にバブルが生じているのではないかと思わされた瞬間のひとつだ。
北京からの就職活動
2年生の秋学期は就職活動のシーズンだ。私は北京から東京へは飛行機4時間だから問題ないと思っていたが、事前に飛行機をとってからの滞在スケジュールの中で面接の日時を調整するというのは、相手先の都合もあるので、なかなか難しく、予想以上に飛行機代、ホテル代がかさんでしまった。
(戦略論のクラスでの集合写真)
交換留学に興味がある方へ
まず留意点として、以下の点はよく理解して、充実した生活を送れるよう計画をしてみてほしい。とはいえ、結局情報量が少ない中で思いきって決めて、あとはやりたいことを実現させるしかない。留意点がどうしても気になる人は、さほどのリスクを冒してまで、Kelloggでの1学期間を見送るのかよく考えた方がよいと思う。
- アカデミック面ではKelloggにいる方が充実しやすい。そこを犠牲にしてまで、自分が何を得る目的でゆくのか、現実的に考えるのが重要だと思う。
- 飛行機代や、生活セットアップ代など、費用がかさむ。中国は物価が安く、生活費が抑えられたが、思った以上の費用が発生しがちだ。
- 当然、生活セットアップなどに手間暇がかかる。私の場合、アパートをシェアした他のKellogg生がいて、且つ、そのうち一人が中国語に堪能で先に北京入りして生活をセットアップしてくれたこともあり、大変助かった。
- 新しい土地で、課外活動やグループワークが少ないなかで、頑張らないと友人を作る機会はあまりない。友人作りも考えて、アパートを交換留学生同士でシェアをする人が多い。私自身はKellogg生3人でシェアをしたが、友人の友人という形でネットワークが広がった。また、学校がアサインしてくれる中国人の学生とも仲良くした。
- 当然だが、異文化経験のなかで、不便もストレスもあるだろう。それをよい経験だと思うくらいの気持ちが必要だと思う。
以上のような点を考えても、私自身は交換留学を行ってよかったと思っている。その理由は、もう少し私の体験や感想を書き進めた上で述べさせていただくこととしたい。
09AT
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