米国のベンチャーでのインターン(1)

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3ヶ月あった夏休みもついに終わりに近づき、あと数週間で秋学期が始まる。「軽井沢の夏休み」と形容されるEvanstonの夏もついに終わりを告げつつあり、早朝の犬の散歩も少し肌寒くなってきた。(とほほ。。。)

01IMG_1468.JPG今回は、夏休みの間2ヶ月間掛けてやっていて、ついに先々週終わった、サマーインターンについて書かせて頂こうと思う。

前回の記事でも少しご紹介したのだが、多くの日本人同級生が日本に帰って投資銀行やコンサルティングファームでインターンをやる中、自分は、敢えてアメリカに残る道を選び、意識的に、ちょっと異色なことをやってみた。Kelloggの卒業生がやっている、アメリカ国内のインターネット系スタートアップでの、起業のお手伝い。恐らく日本人に限らず、アメリカの現在の不況の中、就職戦線異常ありまくりの今のご時勢でMBAに来ている学生としては、結構トリッキーな選択肢だったと思う。

なんでまたそんなインターン選んじゃったのかというと。。。

 

自分探しの旅

そもそも自分にとって、このMBAは、自分がこれまでいた業界や会社を一度離れて、自分の将来のキャリアプランを明確にする、本当に自分が好きなこと、やりたいことを明確にするという根源的な目的があった。よくMBA留学は『2年間の自分探しの旅』だと形容されたりするが、正にその旅の一環として。

一瞬余談だが、出願に向けてエッセイを書く上で、ある程度固くて必然性/説得力のあるキャリアプランを示さねばならず、ちょっと違和感を感じらられる受験生の方も多くいらっしゃるかも知れない。が、あくまで出願は出願。その時点の仮決めで最も説得力がありそうなロジックでエッセイは作り、それはそれ、本音は本音、入学後はエッセイの内容なんて完全に忘れて純粋にオープンに自分探しをしている人も少なくない。アメリカ人に聴いても、「ま、エッセイのキャリアプランは自分を売り込むための建前だからね。入学後それに縛られなくちゃいけないなんて話はどこにも無いよ。アドミッションだってそれは解ってるだろうし。」という話をちらほら聴く。

そんな中でも、2-3ヶ月もの間、自分が入学まで身を置いていた業界以外のフィールドで実際に働く事が出来ると言うこのサマーインターンシップ制度は、非常に重要な意味を持つイベント。実際に会社で働いている間は、ほとんどの場合、「ちょっと興味があるので別の会社に一時的に味見で出向してみます」なんてことは許される訳も無く、かと言ってそのためだけに実際に転職しちゃうのはリスキーだし、自分の場合も常に、「もしかしたら他の仕事/会社の方がいいんじゃないか?」という、検証されることのない疑問/気持ち悪さを抱え続けていた。

数ヶ月限定だから、最悪自分に合っていないということになっても痛くも痒くもない訳で、むしろ一生に一度の味見の機会と割り切って、フルタイムでは決してやらないような仕事を思い切ってやってみるというのも一つの考え方だと個人的には思っていた。

1IMG_1489.JPGそんな背景もあり、今回のサマーインターンを迎えるに当たり、これまで自分がいたフィールドから、力いっぱい真逆に振って、三つの軸で反対の極にある仕事を敢えて選んでみた。

1.日本 対 米国

今回のMBA留学で一年間を過ごし、キャリアに関する考え方が大きく変化した。この場では詳しくは書かないが、その中の一つに、卒業後は日本ではなく、少なくとも数年はアメリカを含めた海外でじっくりキャリアを積みたいというものがある。

今回のMBA留学で世界で起こっていることを知り、世界中の人材と交流し、マクロな構造変化、今正に起こっている、企業や人の競争のゲームのルールの変化/地殻変動を知る中で、少なくとも自分に取って、今後10年、20年のキャリアを考える上で、経営者、経営プロフェッショナルとしてリーダーシップを発揮していこう、40代になって最もエキサイティングな仕事をし続けるためにはどうすればいいんだろうか、と考えた場合、(少なくとも自分にとっては)このまま30代を日本に閉じた形でキャリアを積むのは必ずしも得策ではない可能性もあるかも知れないと考えるようになった。

加えて、子供の頃から胸に抱いていた、どんな世界で生きるにしても、日本の中だけではなく、世界で戦え、認められる人間になりたいという想いが、より一層強いものになった。

そんな中、これまで日本でしか生きた事の無い自分に取って、果たしてアメリカで働くことが出来るのか、実際に自分が日本で身に着けてきた経験や能力は生きるのか、その辺の疑問は、実際に働いてみないことには検証されないと思っていた。

頑張ってどうにかなるレベルなのか、どんなに足掻いてもどうしようもない夢物語で、とっとと諦めて日本に帰るしかないのか、その辺の感覚値を見極めたかった。特に英語ネイティブではない自分が、果たしてどのくらい英語で仕事が出来るのか、実際に仕事をすることでの英語力のラーニングカーブはどのくらいsteepなのかという点は最も知りたい点だった。特に、学校でのクラスディスカッション/グループディスカッションの英語と実際の仕事での英語はかなり違う部分も多いと考えていたため、その辺の感覚の違いを知りたいという目的意識が強かった。

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(このマンションで働いてました)

2.クライアントサービス 対 事業会社

自分が戦略コンサルティングの仕事を6年以上続ける中で、常に抱えていたフラストレーションの一つに、「結局、自分自身がやっている訳ではない」というものがあった。「お客さんの会社の社長以上に、株主以上に、その会社のことを考えろ」と教え続けられてきたし、自分自身気持ちの上では常にそう思ってきた。それでも、世間的に時々言われる批判である、「コンサルタントってさー、結局、どこまで行っても他人だよね、部外者だよね。本当の当事者じゃないよね」という声が聞こえた時、正直なところ、心の底からそれは違うと120%自身を持って否定できるだけの確信が無かった。

もしかしたら、本来自分が事業会社で働いていたら感じられていたであろうレベルのオーナシップ/当事者意識は持ちきれていないんじゃないか、もしそれが持てれば今までとは全く違ったレベルで仕事が出来たり、もっと無茶苦茶楽しかったりするんじゃないか。そういう疑問を抱え続けてきた。

漠とした例えだが、自分は常にフィールドの上で走り回って、実際に点を取ってスポーツ新聞に載りたいと思っていて、それを裏から支えるスタッフやコーチになりたい訳じゃないんだよな、と感じていた。自分自身がPL責任を負って、組織の命運を握って経営をする立場に立ちたいと思い続けていたし、コンサルタントをやっている限りはそれは適わないんじゃないかと何となく思っていた。

でもそれは幻想に過ぎなくて、実際に事業会社に勤めたところで、結局社長と同じレベルでオーナーシップを持てたり、組織に対して強い共感やコミットメントを感じて仕事を出来るわけでもないのかもなとも思っていた。

本当のところどうなんだろう。隣の芝生が青く見えてるだけで、青い鳥を追い掛けてるだけで、実際に事業会社で働けばそれまで見えていなかったいろんなダウンサイドが有って、結局後悔することになるんじゃないか。もう少しコンサルティングファームで経験を積むべきなのか、事業会社にとっとと行くべきなのか、悩み続けても答えが出なかった。

なので、実際一回働いてみればいいじゃんと。しかも今回のは、社長と僕二人っきり。自分がこの2ヶ月どう働くか次第でこの会社は一年後には無くなってるかも知れないし、大きく育ってるかも知れない。本当に自分自身の会社、組織と思えない訳が無いほどの環境。もちろん、そんな短期間で本当の答えが見えるとは思わないが、少なくとも感覚は掴めるかなと。その辺の思考を進める上での最低限の材料くらいは手に入るだろうというのもあり。

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(この席で働いてました。つか普通にリビングルームのテーブル...)

3.成熟した大企業 対 立ち上げ期の零細企業

自分が留学まで在職していた企業は、日本での設立から40年以上たち、ビジネス的にも非常に上手く行っており、大企業といえる規模ではないが、社員数も数百人を越え、組織としてある程度成熟しており、「アントレプレナーシップ」というフェーズは遥か昔に脱していた。

入社から6年が過ぎ、社員数も倍になり、少しずつ大企業に近づいて行くのを目の当たりにしてきた。社員の顔と名前が一致しなくなり、経営者たちとの心理的な距離感が離れていくのを感じ、少しずつ「官僚的」になって行く自分を感じ、悲しく思っていた。自分は元々恐らく、皆の顔が見えて、お互いを家族のように感じられて、その組織を自分の場所として愛情を感じられるような、小さな組織の方が好きなんだろうなと感じていた。

そういう意味では、その軸での究極系は自営業で、まさに今回の起業の過程にあるベンチャー。小さい組織は小さい組織でいい面はあるんだろうけど、実際には恐らくダウンサイドも多くあるはずで、それはやっぱり働いてみないと見えないだろうし、将来自分が起業したり、同じようにベンチャーで働くことになった時のためにも、今のうちに一度「超」小さい企業で一回働いて中身を見ておくのも悪くないなというのもあり。

僕自身、正に孫正義さんが世間的にも持て囃されていた頃に思春期を過ごし、高校生くらいのころから起業/ベンチャーに対する憧れを持ってきた。いつか起業したいという思いは心の中にずっと持ち続けてきた。一方で、僕が知っているベンチャーやアントレプレナーたちは、しんどい時期を乗り越えて、極めて低い生存率の中から這い上がってきて成功した起業や人たちばかり。

(過度に悲観的になる訳では決して無くて)現実的には、その影には無数の失敗したベンチャー、失敗してはいないが、花開くわけでもなく、世間に知られること無く粛々と走っているベンチャーが無数にあって、そっちの方がむしろ「一般的な」ベンチャー像ということになるんだと思う。でも、なかなかこれまでのキャリアではその現場を見ることは無かった。今回のインターンでそのリアリティを理解し、自分の中のバイアスを取り払った上で、ニュートラルに自分に取っての起業というオプションを考えてみたかった。

3IMG_1457.JPGそもそもどんな企業か?

簡単にどんなビジネスをしているどんな企業だったのかをクイックに紹介させて頂こうと思う。Kelloggの2000年の卒業生(今40歳くらいか?)が今年の春に立ち上げた企業。Evanstonのマンションの一室(要は彼の家)でやっている文字通りガレージベンチャー。やっているのはSearch Engine Marketing(SEM) Professionalというビジネス。

Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンで何かを検索した際に表示される検索結果ページ、実は、純粋な検索結果に加え、検索ワードによっては上部や右側に、検索結果に見せかけた広告が表示されている。これがSearch Adsと呼ばれる広告。検索結果の一つとして(または広告と知って)ユーザーがそれをクリックすると、リンク先のウェブサイトが表示され、広告主に数セントから高い場合は数十ドルの広告料が課金されるという仕組み。従って、Pay per click adsと呼ばれてもいる。実はGoogleの収入の大部分がここからの収入。

ところが、この広告のマネジメントが結構工数を食ったり、専門的なノウハウが必要だったりして、なかなか大企業で専門のリソースを避けないと活用するのが難しかったりするので、そこを請け負いまっせ、という会社。

4IMG_1429.JPGちなみに、一昔からあった、純粋な検索結果の方に影響を与える、Search Engine Optimization(SEO)が、Googleの検索アルゴリズムの進化と競争激化によりcontrollabilityが下がってしまった中、それに取って代る形でこのPay per click広告は伸びてきた。(無茶苦茶乱暴に言うと)要はそれ相応の金を払えば露出が確保できるので、多くの企業にとって検索エンジンでの露出確保の主要な手段としての地位を築きつつある。そんな、「時代の最先端を切り裂く」ほどではないものの、まあ、今時っちゃ今時なインダストリーだった。

正直、この市場も多くの企業が参入した後で、変化の速いインターネット業界の中では後発とも言える参入なのだが、そんな中、開拓しつくされた大企業ではなく、ホワイトスペースでこれから伸びていくであろう中小企業クライアントに絞って、何らかの軸で差別化して儲けていこう、生き残っていこうという、なかなかチャレンジングな状況にある企業。(大変失礼な話、)正直卒業後にフルタイムで就職するかと言うと、もう少し確実に勝てそうなところを選ぶかもな、と最初の面接の時に直感した。

それでも、まあ、逆に言うとインターンだからこそリスクを取ってそういう企業でも働けるのと、インターネット系のビジネスに強い興味があったこと、なんといっても家から歩いて三分という絶好の立地にあったこと、加えて創業者の方がナイスな方だったこともあり、思い切ってこの企業で働いてみることにした。

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(こちらはオフィスで飼ってた猫。やんちゃ過ぎで仕事の邪魔しまくり。
足とかかじられて流血しまくり...)

で、8週間働いてみて、どうだったのか。何を感じたのか。

を書く前に力尽きてしまったので、また次回...引っ張っちゃってごめんなさい。。。

IM Class of 09

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このページは、IM Class of 09が2008年8月31日 20:17に書いたブログ記事です。

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