Kraemer教授のManagerial Leadership(1)

| | コメント(0) | トラックバック(0)

今学期、大変素晴らしい授業を受けさせて頂いている。Harry Kraemer(クレイマーと発音)先生の、Managerial Leadership

所謂「リーダーシップ論」のカテゴリーのど真ん中にある授業の一つ。KelloggのMajorの一つである、Management and Organization(通称MORS〔モースと発音〕)に属する科目の一つだ。Kelloggの本来の強みである、経営人材としてのジェネラルマネジャー養成、「頭でっかちではなく、人間力とバランス感覚に優れた真のリーダーシップ育成」というKelloggの哲学を直球勝負で体現する授業の一つでもある。

IMG_9318.jpg

さてさて、最近、アカデミックに関する内容の記事が相対的に手薄になっていたこともあり、また、この科目や他の科目に関して自分の中で情報発信したいネタが貯まり、醸成されてきたこともあり、ここらで一発がっつりとアカデミックのネタを書かせて頂こうと思う。また、これから夏に掛けて、今年度出願の受験生の皆様の中でも、より具体的な授業の内容や雰囲気について知りたいというニーズが高まってくるであろうという読みもあり。

ちなみに今回、ちょっと長くなりそうなので、何回かに分割して、連載物という形にさせて頂きます。

 

A3B5C6FCCCDC20(7).jpg

極めて本質的で重要なことを学ばせてくれる

と、言う訳で、この授業。結論から言うと、大変、素晴らしい。まだ取られていない同期の方、今後Kelloggにいらっしゃる方で、この辺の話に興味がある方には自信を持ってお勧めする。学びのレセプターさえ持っていれば、必ず大きな学びをもたらしてくれると断言する。

授業が終わる度に、なるほどなーーー!そうだよなー!すげえなー!!という、学びから生まれる感動と共感で脳が軽く痺れた状態で帰路に着き、家に帰って妻にいかに素晴らしかったかを少年のように目を輝かせて嬉々として語る、ということがかなりの頻度で起こる(嫁さんにはかなり迷惑)。Kelloggに来て良かった!と噛み締めさせてくれる授業の一つだ。

この先生の授業を通じ、自分がこれまで認識してきた、経営に必要な、学ぶべきスキルの中に、「リーダーシップスキル」というスキルが厳然と存在していることを強く実感できた。ファイナンスや業界の知識、分析する力や、問題を解決する力、戦略を構想する力、組織やプロセスをマネジする力といった、どちらかというとIQサイドの力と並列な形で、今まで自分が漠としてしか認識していなかった、もっと遥かに重要な、大きな大陸があったことに気づかされた。何となく存在を感じていたが、今までぼんやりとしてしか見えていなかった、「リーダーシップ道」という大きな「技」や「力」の体系・領域の輪郭を、ハッキリと見させてくれる。

 

A5AAA5EA20(6).jpg

Kelloggを卒業して10年、20年経って振り返ったときに、オペレーションやらファイナンスやらの表面的な知識やテクニックは忘れているか役に立たなくなっているかも知れないが、自分の深いレベルに刻まれ、残り続ける学び、自分の人生に根元の部分から影響を与えるような学びがあるとしたら、正にこの科目で学んでいることのような気がする。引退してから振り返ったときに、ああ、あの時のあの先生との出会いが、自分の人生の軌道をゴリッと変えたんだね、と振り返ることになる授業なんじゃないかと思っている。

それだけ、素晴らしい。

IMG_0901.JPG学校でリーダーシップを学ぶということに対する疑念

この授業を取るに当たって、3つの大きな「懐疑」があった。
●そもそも、リーダーシップスキルって何なのか?(なんか、フワフワしてるしよくわかんねえよ。。。残尿感の残る禅問答めいた話はマジ勘弁)
●それって、学校で、授業で学ぶことが出来んの?
(戦場での実戦でしか学べねえだろ、んなもん。)
●学ぶとしたら、どうやって学ぶってこと?

が、授業を受けていく中で、Harryの話を聞き、毎回ゲストスピーカーとして訪れる各業界、分野の一流の経営者、リーダーたちの話を聞き続ける中で、それらの疑問はクリアに晴れつつある。

一つ目の、リーダーシップスキルって何?については、(今後の記事で具体的に紹介していくが)ハイレベルな「attitude」だとか、「思考の習慣」、「行動原則」みたいなものから、かなり個別具体的な「スキル」、「tips」みたいなレベルのものまで、幅広く身に着けるべき資質があるということを改めて理解した。これまで読んできたリーダーシップの教科書(John P. Kotterの「リーダーシップ論」、高木春夫先生の「リーダーシップ論」、野田先生の「リーダーシップの旅」などなど)を通じてうっすらと理解していたレベルから、もう一段踏み込んだレベルで、より強い具体感と納得感を伴って、体系化された形でそれを理解できた。

IMG_0902.JPGまた、二点目(学校で学べるの?)に関しては、自分なりに以下のように理解している。

まず、リーダーシップという資質/能力を鍛えることは、一生掛けて続けていく長い長い旅のようなもの。「はい、これで習得。完了!」という類のものではなく、30代、40代、50代と時間を掛けて変化/成長し続けて行くべきもの。恐らく、「よし!このスキル見につけた!」という判り易い瞬間が訪れるイメージではなく、頂上の見えない長い長い山道をゆっくりと登っていくプロセスで、ふと思い出して後ろを振り返ると、自分が若い頃を過ごしていた麓が遠くに小さく見えて、「ああ、思えば遠くに来たもんだ(海援隊)」とたまーに感慨に耽る、みたいなことなんじゃないかと。

先生の言葉を借りると、「リーダーシップを培うという行為は、Life long journey」。従って、あくまでここで学ぶことは、これからも続く長い学びの旅の中の出発点、通過点に過ぎないということ。

そして、実戦でしか学べないんじゃないか?という仮説に関しては、もうちょい分解して考えている。

このリーダーシップという能力もまた、他のあらゆるスキルと同様、1学習、2習得、3習慣化、4強化、5自分なりのスタイルへの昇華、という、一連の学習のプロセスを辿っていく類のもの。

確かに、卒業後の実戦の中でしか、本当の意味での2-5のプロセスは生じないと思う。それでも尚、今この時点でしっかりと1のプロセスを踏むこと、塗り絵の枠組みのイメージをしっかりと持つことは極めて意味があると信じる。どういう要素が有って、何が正しくて、何が正しくないのかを知るだけでもそこから先の経験やフィードバックからの学びの精度、リーダーとしての自分に対するメタ認知の深さに大きな差が出てくると思う。

また、ある意味MBAに来ている人たちの多くがこれまで5年なり10年なりの(学生時代やそれ以前も含めるとそれ以上の)リーダーとしての実戦経験を経てきている訳で、そういう意味では、過去の経験からリアリティを伴った形で想像し、自省するという学びのレセプターもある程度揃っており、改めて学校で学ぶタイミングとしては丁度いいというのもある。

IMG_9079.jpg最後の、「どうやって学ぶの?」という部分については、上述したとおり、真に自分のものとして身に着けていくには、原則としては実践ありきだと思う。

が、実践/トライアルアンドエラーを通した成長に向けた塗り絵の枠組みを作る最初のプロセスに限って、この限られた時間の中で学習効率を上げるためには、多少普通の授業とは違った形で学びを生んでいく部分があるのだな、と感じた。

Kraemer先生を始めとした、各界の経験豊富なリーダーの人生を追体験することで学ぶ。彼らの戦場でのトライアルアンドエラーと、そこから抽出したリーダーシップに関する学びを、エピソードをベースにして腹落ちさせていく。

実際に授業で彼の話を聴いていて感じるのは、この授業では、頭で学ぶ、という部分以上に、感性/ハートで学ぶ。腹落ち、実感で学ぶ。というプロセスだということ。ただの乾いた知識を学んでいくプロセスとは一線を画す。同じ「なるほど」でも、「はいはい。なるほどっ。そゆことね」ではなく、「んんなるほっどおぉー!確かにそうだよなー!(ブルブルっと震え、ゾクゾクッと鳥肌)」で学ぶみたいな。

すいません。だいぶ自分の世界に入ってしまったので、ちょっと軌道修正するべく、授業と教授のご紹介を。。。

 

 

IMG_9083.jpg

超人気科目

まずこの科目、ビッディングポイント(授業選択の際に使われる「競り」の通貨)が1300点という、破格に値が張る超人気科目。(Kelloggでは一学期当たり平均1000ポイントが持ち点として与えられる。実質1ポイントでも取れる授業がある中で、この値段は破格。以前紹介したMarketingのJulie Hennessey先生も同じくらい。)僕自身も残った持ち点のほとんどをつぎ込んで、なんとか席を確保することが出来た。

2年生が最後の最後、卒業直前に、社会に再び旅立っていくに当たり、最後の「締め」として取るケースが多いようで、実際に今学期も多くの受講生が2年生。が、僕はデザートは先にとっとと食っちゃいたい(取っておいておなかいっぱいになったり他人に食べられたら勿体無い...)性格なので、取れる時にとっとと受けてしまうことにした。

 

 

IMG_9301.jpg

先生が物凄い

そして、先生、Professor Harry Kraemer。この人は文句無しに凄い。この授業の良さはそれに尽きる。経営者として文句の付けようの無い実力とトラックレコードを持っており、また、人間として本当に尊敬できる方だ。Kelloggに来て、この先生に出会えて本当に良かったと心底思う。「あああこういう人になりてえ!でも、一生掛けても、なれんのか...俺に?」と思うことができるロールモデルの一人だ。日本にいた頃に、何人かの日本を代表する素晴らしい経営者の方と仕事で接する機会が有ったが、彼らに対して抱いたような畏敬の念、憧れの気持ちを強く喚起してくれる人だ。

彼のバックグラウンドをクイックに紹介させていただくと、Kelloggを79年に卒業し、その後銀行勤務を経て、Baxterという(日本では皆が知っている会社ではないがアメリカでは非常に有名な優良企業)ヘルスケア企業の経営企画に82年に入社。あらゆる部門を渡り歩き、97年に海外統括部門の経営者、さらに99年にCEOに就任。そこで経営者としての手腕を発揮した後、現在はシカゴを代表するPE(プライベートエクイティ、バイアウトファンド)の一つであるMadison Dearbornの経営陣を勤めている。Baxterは売上約100億ドルのグローバルヘルスケア企業で、GEなどと並ぶリーダー輩出企業として知られている。米国のヘルスケア関連の上場企業の何と35%がBaxterかその関連企業出身者とのこと。要は、アメリカ屈指の、超一流の現役経営者が教鞭を取っているということ。

 

41820(8).jpg

彼自身が実業の世界で失敗しながら、苦しみながら、リーダーシップの資質とスキルを磨き、リーダーとして、経営者として大きな成功を収めてきた。問答無用で説得力がある。人間として、ビジネスパーソンとしての経験が桁違い。持っているリーダーシップに関する理解の深さ、それを教える言語と事例の引き出しが無限大。コミュニケーションが上手いこともあり、感情に訴えかけるレベルで学びを落とし込んでくれる。

また、毎回連れてくるゲストスピーカーも、彼自身の経営者ネットワークをフルレバレッジするため、他では例を見ないほど豪華。

 

41820(16).jpg

就職の相談をした、Kellogg alumni relationの代表をしていた卒業生が言っていたが、Kraemer氏は、Kelloggで最も成功した卒業生の中の一人であると共に、最もKelloggを愛し、その経験をKelloggに還元しようとしてくれている素晴らしい卒業生の一人だと言っていた。こういう本当の一流の方からがっぷり四つでリーダーシップについて学べるという体験、正にトップスクールのMBAならではだと思う。

さて、またしても異様に長くなってきたので、今回はこの辺にさせて頂き、具体的に、授業はどんな感じなのか、どんなことを学んでいるのか、彼がどんなに素晴らしいのか等は、追って時間を見つけて小分けにしてお伝えして行きたいと思います。長文お付き合い頂き有難う御座いました。引き続き宜しくお願い申し上げます。

IM Class of 09

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: Kraemer教授のManagerial Leadership(1)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.kelloggalumni.jp/mt/mt-tb.cgi/152

コメントする

このブログ記事について

このページは、IM Class of 09が2008年5月27日 23:02に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「大学スポーツの奇跡(1)異端の王者」です。

次のブログ記事は「大学スポーツの奇跡(2)パラダイムを変えるリーダー(1)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。