ケロッグの就職課であるCMCからケロッグ生の就職先を調査した冊子「Employment Report 2007」が配布された。今回のデータはClass of 2007(昨年夏の卒業組)のフルタイムの就職先と、Class of 2008(現在2年生)のサマーインターンシップ先。ちょうどいいので、ケロッグ生がどんな就職先を見つけていくのか、冊子を読み解きながら解説していこうと思う。とりあえずの座標軸として「MBA後の給料は1000万円いくって本当?」「やっぱりマーケティングに行く人が多いんでしょう?」「サマーインターンシップってどこでやっているの?」の3つを掲げたい。
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まず紫色の冊子を開くと、1ページ目に載っているのが、CMCのDirectorであるRoxanne Hori。名前からわかるとおりに日系アメリカ人である、Roxanneがケロッグの就職活動を仕切っている。前髪がかなりチャーミングなのに加え、言動もなかなか個性的で、話していると結構楽しい。
なお冊子に書かれている内容を含め、ケロッグ生の就職状況についての詳細は以下のページに詳しい。Roxanneの写真も載っているので、是非チェックして欲しい。
http://www.kellogg.northwestern.edu/career_employer/employment/2007/index.htm
「ケロッグの給与 実態は?」
さて本題。まずは給料面。
サラリーを上げるためにMBAに行くわけではないという人ももちろんいると思うし、個人的な意見としても、給料につられて就職先を決めるのは悲しいと思う。MBAの価値として、ビジネススキルの習得・発展はもちろん、多国籍文化での様々な視点の理解、自分の興味・特性の再発見、そしてリスクフリーの環境での各種挑戦など、キャリアアップ、キャリアチェンジ以外にも魅力が様々あることは重々承知しているつもりだが、現実問題、2,000万円近い投資(さらに2年分の給与という機会損失)を回収するには、ある程度のサラリーは欲しいというのが大多数の学生の本音である。なので、このEmployment Reportにも給与面の数字は細かく載っている。例えば、ケロッグ前の就業年数、学部時代の専攻、年齢別、男女別、また地域・国別などである。
全体的にみて、多くの指標でAverage、Medianとも$100,000を超えている。つまり日本円にするとほぼ1000万円。確かにトップ校だけあって、予想通りそれなりのポジションに収まっているといえる。一方で、分布を見ると下限が40,000ドル台にある。後述するがケロッグ生の志向は大変に多様で、ノンプロフィット・政府系など、給与面ではそれほど魅力的ではないところにも、それなりの人数が就職していく。もちろんそうした学生は奨学金をもらっている場合が多いのだが・・・。

「人気職種 第一位は?」
ここまではあまり驚きは無いが、産業別・職種別の分布を見ると、ケロッグらしさが強く出てくる。次のデータは、03年から07年、学生に最も人気のあった職種だが、どこだかわかるだろうか。
28% → 30% → 36% → 34% → 33%
ケロッグの強みを生かしたマーケティングと思いきや、実は違う。コンサルティングである。例年3分の1の学生がコンサルティングの門を叩く。マッキンゼー54人、ベイン27人、BCG27人、ブーズアレン12人、というように、全産業を合わせた会社別で見ても上位4社はコンサルティングファームである。ちょっと行き過ぎの感もあるが、コンサルはチームワークを重視する職種だけあって、ケロッグ生との親和性が高いと聞く。加えて、コンサルティングクラブをはじめとした就職対策がかなり手厚い。また各ファームもケロッグでのリクルーティング活動にかなり時間と労力をかけているのがわかる。
ではマーケティング職はどうなのかというと、やはり多い。同じように推移を見ると、22%→26%→21%→26%→22%である。他のトップ校が10%を軒並み切っているといわれるマーケティング職であるが、やはりケロッグ生には根強い人気がある。P&Gやコカコーラといったおなじみの企業に加え、アップル、グーグル、マイクロソフトなど、新興企業もケロッグにわざわざ足を運びリクルーティング活動をしているので、学生も企業のリサーチが容易だということもあるだろう。それにしても、花形といわれるCPG(consumer packaged goods)に10%も行っているのは、ケロッグの強さここにあり、だと思う。
「ファイナンスは弱いんじゃないの?」
じゃあ、ファイナンスはどうなの?少ないんじゃないの? という声が聞こえてきそうである。 確かに割合から言うと少ない。しかし色々と誤解がある。その誤解を解くため、ちょっと慎重に書いていきたい。
まず全体像から。投資銀行に行く人は全体の10%程度である(07年は11%)。十分に多いように思えるが、ファイナンス系MBAとよばれる学校が20%超というのに比べると半分しかいないということになる。だが、色々と考慮すべき点がある。まずケロッグは学校の規模が大きい、つまり母集団が大きいということ。一学年は2年制、1年制、パートタイムなど含めて700人程度もいる。そのうちの10%が投資銀行に行くとすると例年70人以上は就職しているということになる。
加えて、PEやVenture Capitalなどファイナンス系の就職口もあわせると、25%程度に膨らむ。実際、クラスメートと話をしているとファイナンスを志す人の多さにびっくりする。例えば、今学期とっている統計の授業があるが、グループスタディのメンバーの一人にすでにシカゴのVCで働いている学生がいる。(つまり二足のわらじ。フルタイムのMBAに所属しながら、インターンシップもこなしている。)
さらに日本での就職に限って言うと投資銀行はかなり多い。今年のサマーインターンシップ先としては、投資銀行を選ぶ人が最も多いはずである。
また、某誌のランキングでは、志望する分野に就職できるランキングで、ケロッグは5位につけている。競争が熾烈で目標の高い学生の多いトップ校としては異例の高さである。つまりファイナンス(に限らず、様々な職種)を志す学生の多くがきちんと自分の目標に届いている、MBAのレバレッジをきちんときかせているということになると思う。
「サマーの先は」
これまではフルタイムを中心に書いてきた。先ほどの項でちょっとフライングしたが、最後にサマーについての状況に触れようと思う。コンサルに多少偏っていたフルタイムの就職状況とは、サマーインターンシップの様相は大分異なる。というのも戦略系コンサルティングは、サマーインターンシップの枠が狭く、あふれた学生が他の職種に流れるという傾向が見られるからだと思う。上位のインターン先をあげると、マーケティング28%、ファイナンス27%(うち投資銀行13%)、コンサル21%、となっている。他の学生は、Strategic Planning, Business Development, General Managementといったところに数%ずつ収まっている。サマーでの経験、感想をもって、フルタイムの就職活動に臨むことになる。(もちろんサマーで企業側と相思相愛になれば、これ以上のことは無い)
なお、日本のサマーインターンシップはちょっと特殊である。アメリカなど他国の場合は1社で10週間程度、インターンを体験するのが一般的だが、日本の場合は複数社こなす人が少なくない。この辺の事情をアメリカ人に話すと、「数週間で何ができるの? Accomplishmentって?」と言われてしまうのだが、会社側のリクルーティング方針・スケジュールが他国と違うこと(この投稿も大分長くなったので、また別の機会に書くことにしたい)を話すと、なんとなく納得してくれる。
「就職先の多様化」
今年からサマーインターンシップの産業別欄にメディアが加わったことに、個人的に強い興味を感じた。なんと3%もの学生がサマーの先としてメディアを選んでいる。ケロッグの就職課は、出口(就職先)の多様化に力を入れているようで、昨秋も、前述のRoxanneが自ら学生を率いて西海岸のメディア・エンタメ企業を訪問した。(私も参加したのだが、ディズニーやヤフーのホスピタリティ、ケロッグ生を取りたい!!という熱意に感心した。) メディアの項目が新設されたのは、そうしたケロッグ側の姿勢の表れのような気がする。MBAというと、どうしても投資銀行やコンサルを出口として意識しがちだが、複雑な環境でしっかりと組織を引っ張っていくリーダーとして、トラディショナルな就職先だけでなく、さまざまな企業・団体でMBA卒を欲しがっていると聞く。ケロッグに来ると今まであったことも無い方向性を持った学生に会い刺激を受けると聞いていたが、就職課も色々な興味をもつ学生のニーズにも応えられるように日々動いているんだなぁというのが感想。もちろん、就職課の活動方針にも、各セクションから選ばれた学生代表が絡んでいるのがケロッグの味噌なんですけれどもね。
Class of 2009 け
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